帝人 反転攻勢への体制構築
2025年04月10日 (木曜日)
帝人は、反転攻勢に向けた体制を整える。中期経営計画の最終となる2025年度(26年3月期)は、収益性改善の取り組みを継続すると同時に、新たなポートフォリオの構築について議論を行うなど、次期中計への準備も進める。
内川哲茂社長は「次の中計で成長ステージに入る」と強調した。
同社は、2カ年の中計を進行している。1年目の24年度について内川社長は「顧客や株主など、多くのステークホルダーに約束したことにきちんと取り組んだ1年だった」とし、「結果として“やれる帝人”を見せることができた。従業員の頑張りに感謝している」と総括した。
業績面では、4~12月期は事業利益と純利益で大幅な増益を確保した。中国経済の鈍化が欧州にも波及し、厳しい局面が見られたが、繊維・製品事業でカバーした。「帝人はリジットで折れやすい面もあったが、レジリエント(柔軟)な会社になってきた」と評価した。
中計の仕上げとなる25年度は、これまで続けてきたポートフォリオの絞り込みを上半期の早い段階で終える。残ったポートフォリオの中からモビリティー、インフラ、ヘルスケアに資する未来のポートフォリオをどのように作っていくか議論を始めるとした。
事業別では、繊維・製品事業は、前年度に落ち込んだ日系自動車向けの販売が回復し、衣料繊維事業との両輪で順調に推移すると予想。ヘルスケアは希少疾患・難病の医薬品導入の準備が着実に進展。アラミド繊維は製造設備の定期修繕もあって厳しさが残るとみる。
また、素材単体から提供価値主体の事業への変革にも継続的に取り組む。コモディティー化している商品を扱いながらも顧客からの信頼感や要望に応えることで提供価値主体を実現している在宅医療、樹脂コンパウンド、繊維・製品が良い事例であるとした。
次期中計については、策定方針はまだ定めていないが、今年度に行う議論がつながっていくとした。その上で「収益性改善の取り組みは25年度も続けるが、反転攻勢が視界に入ってくる」とし、次期中計での成長ステージへの移行を狙う。