化繊協会 関税、最悪状況の想定を
2025年04月22日 (火曜日)
日本化学繊維協会(化繊協会)の竹内郁夫会長(東洋紡社長)は会見で、米国・トランプ政権による関税引き上げ政策に関して「間接的な影響は大きく、化学繊維も需要が減退する懸念がある。最悪の状況を想定した対応が必要」と指摘した。
また、欧州連合(EU)が自動車分野での炭素繊維規制案を発表したことに対しても化繊協会として異議を唱える考えだ。
竹内会長は、日本から米国への年間輸出額が約1050億円あり、これが関税引き上げで直接影響を受ける上に「関税によって国際的な貿易量の減少、サプライチェーンの混乱、GDP低下などが起こる可能性があり、間接的に需要減退という形で影響が及ぶことを懸念している」と言う。
特に自動車分野での影響が大きいことが予想される。また、東南アジアの経済にも大きな打撃となる可能性があることから、会員企業の東南アジア子会社などの業績に影響が及ぶことも懸念する。このため「手元資金を厚くすることや過剰な在庫を避けるなど、最悪の状況を想定した対応が必要」と指摘した。
また、欧州委員会が規則への格上げを進めている廃自動車に関する規制案(ELV規則案)にも懸念を示す。1月に発表された最新のELV規則案(欧州議会改訂案)では、自動車の部品・材料への使用を制限する有害物質に炭素繊維が追加されたためだ。
「従来から規制されている鉛、水銀、カドニウム、六価クロムなど明確に有毒性が確認されている物質と同じくくりで規制されるのは到底承服できない」(富吉賢一専任副会長)として、今後は規制案の詳細や意図の分析を進めながら、炭素繊維協会委員会を中心に国内外の自動車業界や複合材料業界と連携しながら規制案に異議申し立てするロビー活動を行う。
そのほか、サステイナビリティーへの取り組みとして2025年度は「繊維製品の資源循環の拡大」「サステイナビリティー推進に寄与する標準開発」「化学繊維のLCA対応」に取り組む。特に環境配慮素材の標準化は現在進めている日本産業規格(JIS)化と並行して国際標準規格(ISO)化に重点的に取り組む。
ソアロンが新規入会
日本化学繊維協会は18日付でトリアセテート繊維を製造販売するソアロン(大阪市中央区)の入会を承認した。