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帝人フロンティア ブラックフォーマルは機能切り口

2025年04月22日 (火曜日)

 帝人フロンティアは、機能や環境対応などを切り口にブラックフォーマル向け素材の拡販を図る。東京衣料第二部は「黒いだけでは興味を持たれない」とし、顧客に響く提案で需要を掘り起こす。

 素材力で市場での存在感を高め、2025年度(26年3月期)は10~20%の売り上げ増を目指す。

 ブラックフォーマルは、新型コロナウイルス感染症が落ち着きを見せた22、23年は需要が大きく拡大したが、昨年は在庫調整局面に入りトーンダウン。同部の24年度の売り上げも23年度の実績に届かない見通し。25年度は在庫調整が一段落したとして反転攻勢に出る。

 同部ではカジュアル衣料向け素材も展開しているが、すだれ構造を再現し、通気性と紫外線遮蔽(しゃへい)を両立した「爽多」がヒット商品となっている。ブラックフォーマル分野でも素材が販売拡大の鍵と捉え、機能性付与や環境負荷低減に対応した生地を打ち出す。

 24年度にデビューした「ブラックオン」は、原糸と製織、染色、加工の各技術を融合した生地。濃染性と深色性に加え、ハリ感とコシ、光沢感、膨らみ感、イージーケア性などを兼ね備える。軽量感や伸縮性など、バリエーションを増やし、25年度から本格販売を開始する。

 キシリトール加工(涼感加工)や消臭、吸湿発熱加工、シルクアミノ酸を生地に付着したアミノ酸加工などと組み合わせる。環境負荷低減では、糸から加工までトータルで工夫し、二酸化炭素(CO2)排出量を従来品と比べて約6%削減することに成功している。

 梳毛調ポリエステル生地「トリクシオン」に濃染加工を施した高品質・高機能生地「トリクシオンBK」を新たに開発したほか、ソフト風合いと仕立て映えが特徴の「セレヴィ」、梳毛調ポリエステル「ミルパ」などを打ち出す。生地販売だけでなく、製品での納入も増やしていく。