商社・素材メーカー/廃棄衣類をボード化/建築材料やインテリアに
2025年04月24日 (木曜日)
繊維廃棄物をアップサイクルした用途先として、建築材料やインテリアが注目されている。繊維商社や素材メーカーでは、廃棄衣類などをボード、ペレット化して同用途へ提案する動きが目立つ。(長尾 昇)
オフィスなどで使用されるタイルカーペットは、リサイクルが進む。日本リサイクルカーペット協会によると、同協会の会員企業が、タイルカーペットのリサイクルが始まった約20年前からこれまでに約6千万平方メートルを循環させてきた。現在、日本市場の約20%の年間約500万平方メートルが水平循環利用されていると説明。コントラクト向け建材やインテリアで、環境対応商材が求められる流れが強まる。
東レインターナショナルケミカル部は、繊維廃材をアップサイクルしたボード、ペレット「TriTri(トリトリ)」をこのほど打ち出した。テーブル天板やイス、壁装材、ハンガーやティッシュボックス向けに提案する。
繊維廃材のアップサイクルで高い技術を持つ台湾のWYNIST社と協業。愛知県の協力工場を活用し、国内で出た廃材を国内で処理してアップサイクルする体制を構築した。
回収先は東レグループの繊維企業、東レ合繊クラスター関連企業の製造工程で出る衣料用端材など。使用済みの衣服も対象。回収後は、粉砕してエポキシ樹脂と混合加工し、熱と圧力でボード化する。
繊維含有率は60%前後。含有繊維の素材の種類は問わず混合することができ、物性面も変わらないとする。
染色や塗料も使わず、協力工場の調色技術を生かし、回収した繊維廃材を色分けした後に粉砕して使用することで色を出す。
モリリンは、廃棄衣類を原料とした循環型床材「パネコ エス フロアー」の展開をこのほど始めた。
パネコは、衣類の余剰在庫や制服・ユニフォームの古着もアップサイクルできる循環型繊維リサイクルボード。加工性に優れており空間の内装、ディスプレー什器(じゅうき)、家具などに活用されてきたが、ボードに特殊な樹脂をコーティングして耐摩耗性、防汚性を向上させることで床材として使用できるようになった。
既にオフィスなどの床材として採用されている。
シキボウは、廃棄する綿素材を再利用したバイオマスプラスチックペレット「コットレジン」を提案する。
コットレジンは、生産工程で発生する綿廃材や、回収された廃棄衣類を再利用して、リサイクルセルロースマイクロファイバーに再資源化したもので、独自の配合でポリプロピレン樹脂に分散・混錬する。同ファイバーを配合したペレットを使用することで強度がアップし、成形品の薄肉化、軽量化が可能になる。
同社の織布・染色加工子会社、シキボウ江南(愛知県江南市)にバルク生産設備を据え付け、3月から試運転を開始。建材を含めたさまざまな用途へ提案し、販売を本格化させる。