春季総合特集Ⅲ(6)/Topインタビュー/スタイレム瀧定大阪 社長 瀧 隆太 氏/世界で作り、世界に売る/営業利益が過去最高
2025年04月24日 (木曜日)
国内服地販売最大手、スタイレム瀧定大阪(大阪市浪速区)の2025年1月期は、グループ、単体ともに伸びた。営業利益は分社化以来過去最高。けん引役は輸出、内販、外・外の海外市場向け生地販売だ。関税問題で難度は高まるが、「世界で作って、世界に売っていく」という基本方針は変わらない。瀧隆太社長に展望を聞いた。
――Gゼロ時代の到来により不透明感が増しています。国内外で改めて強化していく取り組みとは。
米国大統領選の前からさまざまな想定をしてはいましたが、ここまでやるか……というのが正直な感想です。予想がここまで簡単に覆されたことに驚くとともに、予想しても仕方がないなと思ってしまうほどのインパクトがあります。
米国向けのビジネスだけにとどまらない問題をはらんでいます。全世界で保護貿易の傾向が強まっていく可能性もありますし、自由貿易をベースとした世界秩序が崩れる可能性があります。今生きている人類がまだ経験したことのない時代になっていくのかもしれません。その点で、世界大戦前の保護貿易時代の歴史を学びとして知っておく必要はあるでしょう。
――米中貿易摩擦が過熱していく可能性が高いですが、中国との関係をどうしていきますか。
これまでと変えることはありません。米中の産業が共に何らかのダメージを受けることは間違いなさそうですが、当社のスタンスは変わりません。
当社は米国だけ、中国だけに依拠するようなビジネスをしていません。「世界で作って世界に売っていく」という方針の下、各地域に拠点を作り、それぞれが連携する事業構造を作ってきました。これを追求するのみです。ただ、この方針の難易度がかなり高まってきていることは事実ですね。
一方、Gゼロ時代だからこそ日本のプレゼンスが改めて大事になってきます。日本ならではの特徴を今まで以上に発揮していくべきです。幸いにも日本には宗教的な偏りもなく、「どことでも仲良くできる」という素地がありますし、「信頼されている国」の一つでもあります。これを国の資産として生かしていくべきでしょう。
経済的な繁栄という点では以前よりも元気のない日本ですが、信頼やつながりといった特性を持ち合わせているということを生かしていくべきです。当社もこれらの日本の資産を意識しつつ、今まで以上に価値あるものを作り、市場に評価される企業になっていきます。
――25年1月期の業績は。
グループ決算は、売上高が849億円(前期比7・2%増)、売上総利益が172億円(7・2%増)、営業利益が50億300万円(10・1%増)でした。営業利益は01年に瀧定が瀧定名古屋と瀧定大阪に分社して以降の最高を更新できました。為替の恩恵と、各事業での創意工夫が寄与しました。
品目別の売上高は、羊毛が主体の原料が21億5千万円(12・8%減)と苦戦しましたが、生地販売が451億円(3・1%増)、衣料製品が329億円(14・9%増)、ライフスタイル製品が35億9800万円(6・9%増)、その他が11億6900万円(17・5%増)と他は軒並み拡大しました。
主力の国内向け生地販売は、アパレルの生産抑制や追加発注の減少などから残念ながら微減収でしたが、輸出や外・外の海外向け生地販売が欧米、中国、中東などいずれの国・地域でも伸びました。
OEMを主体とした製品事業の拡大には、雑貨系などで新規顧客開拓が進んだことや、生地と製品の連動性が高まったことなどが寄与しました。
単体業績は、売上高742億円(7・7%増)、売上総利益120億円(6・9%増)、営業利益22億5400万円(9・5%増)、経常利益46億6300万円(17・2%増)、純利益31億7100万円(25・1%増)です。
――東京への人員シフトについては。
東京・大阪の両本社制に変更するとともに、大阪から東京への転勤者を大幅に増やします。両本社制にする理由は、東京の人員数が増えてきていることと、主要顧客であるアパレルが東京に集中していることです。
〈昭和時代の思い出/カセットテープが懐かしい〉
高校1年生で昭和から平成への切り替わりを経験した瀧さん。昭和59年のロサンゼルスオリンピックには「未来の明るさ」を感じた。そんな瀧さんは、アナログレコードでの音楽鑑賞を、ノンジャンルで「ジャケ(ット)買い」するほどにはまっているが、カセットテープも懐かしい。当時はラジオの音楽番組をよく録音していたそう。最近のアナログブームでカセットテープにも再び脚光が当たっているが、瀧さんも「欲しい」と興味津々だ。
【略歴】
たき・りゅうた 1999年ソニー入社。2007年瀧定大阪入社。08年4月から瀧定大阪社長。18年4月から兼スタイレム会長。瀧定大阪とスタイレムの吸収合併・社名変更に伴い21年2月からスタイレム瀧定大阪社長





