ごえんぼう

2025年05月07日 (水曜日)

 新緑が芽吹く季節である。この時期の緑色を表わす言葉は、萌黄(もえぎ)色、若竹色など豊かだ▼萌黄色は早春に萌えいでた新緑の色で、「萌木」「萌葱」とも書く。萌木は樹木から緑が芽吹く、萌葱はネギの芽の色を指すことから、若さや新しさを表わす▼寝具製造卸、nishikawaの二代目・甚五郎氏は、家督を相続した1628年ごろに、布地に萌黄色の染色を施し、近江蚊帳の象徴となる萌黄蚊帳を創案した。二代目が箱根越えの折に木陰に身を横たえて夢を見た際、つたかずらの若葉の色が目に映えて仙境にいるようだったことから「蚊帳の中で人の気持ちを和ませ、爽快な気持ちにさせるであろう」と、萌黄蚊帳を生み出したと伝わる▼若竹のように黄みの薄い爽やかな緑の若竹色。生命力と生育力が強い竹は苦しみに屈しない強さも表わす。先行きの見通しづらい世だが、若葉、若竹のようにしなやかでありたいものだ。