東洋紡せんい・スクール 微増収微増益に
2025年05月07日 (水曜日)
東洋紡せんいのスクール事業部の2025年3月期業績は、前期比で微増収・微増益になりそうだ。学販向けでは学生服や体操服が苦戦したものの、欧州向けニットシャツ地の輸出、学生服メーカーによるメディカル・介護ウエア向けの需要増が減収分を補った。
学販ではウール混からポリエステル素材への移行が進み、自社の強みが生きる“得意ゾーン”での攻勢を強める。
24年度の学販向けでは、重衣料用ウール混生地をはじめ、シャツ、セーター、体操服の学販向けの全ての商品群で苦戦した。オランダやイタリア向けのシャツ地輸出などがカバーし、事業部全体の収益は前年を上回るが、計画では未達となる見通し。
学販向けの売り上げ構成比はニット6割、織物4割。学販全体が苦戦する中でも夏場の高温傾向が後押しし、ニット系アイテムは好調だった。ポロシャツや半袖シャツでは、紫外線遮蔽(しゃへい)・防透け性に優れた「レイブロック」や、吸水速乾性とストレッチ性を兼ね備える「Zシャツ」が採用を拡大。ブレザー向けには、軽量でかさ高なダブルニット素材「エックスジャケット」が健闘した。
素材でウール混からポリエステルへの移行が進み、同社にとって「得意ゾーンに入ってきた」(川端圭二営業本部スクール事業部長)として、開発力を生かした独自素材の拡販に手応えを見せる。
一方で、体操服など価格競争が一段と厳しさを増しており、コスト対応型のオペレーション体制の構築が課題。台湾オフィスとの連携を深め、現地サプライヤーと生地の共同開発を進める。これまでの日本製生地+海外縫製のオペレーションから、海外製生地も含めたコスト対応型の体制整備を視野に入れる。
国内ではブラウス生産の酒田ソーイング(山形県)を5月末で操業停止。供給体制の見直しを進め、取引条件の再構築や計画的な生産への転換を通じてコスト削減と安定供給を図る。追加発注の削減を通じた生産精度の向上にも取り組む。
今期は学販向けで依然として在庫調整の余波が残るものの、増収増益を計画。「欧州ではシャツは肌着のような存在。着心地の良さが評価されている」として、欧州向けにシャツ地の輸出に力を入れる。