特集 PANTEXTILES TOKYO2025/14、15日に開催 50社超出展/サステ、機能追求の最新素材

2025年05月07日 (水曜日)

 台湾の繊維産業連合会、紡拓会は14、15日の2日間、東京都渋谷区のベルサール渋谷ファーストで素材展「PANTEXTILES TOKYO2025」を開く。台湾のメーカーと商社50社超が出展し、台湾とベトナムで生産するサステイナビリティーと機能性を追求した最新素材を訴求する。主要出展者の出展内容を紹介する。

〈越・台湾製のサステ織物/福懋興業〉

 台湾の合繊織物メーカー最大手、福懋興業(フォルモサ・タフタ)は今回、ベトナムと台湾で生産するサステイナビリティーを追求した織物を訴求する。

 ベトナム製は、環境と体に優しい水性ポリウレタンを使った防水織物と、使用済みペットボトルを使用したリサイクルポリエステル素材、バイオベースナイロン使いを打ち出す。台湾製は、工場排気ガス由来のポリエステルや、海洋プラスチック(OBP)を使ったナイロン・ポリエステルの織物を出展する。

 同社は台湾、ベトナム、中国で工場を運営する。2024年の年産能力は計1億8千万ヤード。

〈高強度の登山パンツ地/佳和〉

 毛織物と車両資材を手掛ける織物メーカーの佳和(ジャーハー)は、高強度のクライミング向けパンツ地などを打ち出す。

 このパンツ地は、新開発のリサイクルナイロン6を使用。従来のリサイクルナイロンは、バージン素材に比べて強度が劣っていたが、バージン素材と同等レベルに高めた。スパンデックスや、ウールを混ぜた複数のバリエーションを展開する。

 ウールを使った手触りの良いチェック柄の先染めシャツ地(60%ウール、40%セルロース繊維)や、リサイクルウール使いのシャツ地なども出展する。

〈独自のアウトドア素材/興采〉

 サステイナブルな機能素材メーカー、興采(シンテックス)は、独自のラミネートや起毛加工のアウトドアウエア素材を打ち出す。

 2層や3層構造のウインドブレーカー向けラミネート織物は、コーヒーオイルを原料とした生分解性を持つフィルムを採用する。

 コーヒーかすを再生ポリエステルに分散させた機能素材「S.カフェ」と、伊藤忠グループのケミカル再生ポリエステル「レニュー」を組み合わせた「レニュー×S.カフェ」のメカニカルストレッチ素材や、裏面に起毛加工を施した防風・撥水(はっすい)機能の織物「ストームフリース」も出展する。

〈抗菌などの機能性チタン/格羅科技〉

 機能性チタン「HyTAMO」(ハイタモ)を手掛ける格羅科技(ガーミ・テクノロジー)は、同素材とマイクロカプセル化技術を訴求し、ビジネスパートナーを開拓する。

 ハイタモは抗菌、抗ウイルス、ホルムアルデヒドを除去する機能を持ち、繊維や建材など液体、固体双方の状態で効果を発揮する。繊維品はカーテンやソファー、服地、衛生用品などに使える。

 マイクロカプセル化技術「ヘルス・キャップス」は、生地に心地よい香りを付加するほか、肌に優しい栄養素を放出し、着用者の快適性を高める効果が期待できる。

〈TPEEのストレッチ素地/新光紡織〉

 合繊織物メーカー、新光紡織(シンコン・テキスタイル)は、ポリエステル系熱可塑性エラストマー(TPEE)使いのストレッチ性を持つ織物と編み物を訴求する。

 TPEEを採用し、スパンデックスを使わず、リサイクルが可能なモノマテリアルのストレッチ素材を開発した。パンツやアウター向けとして提案する。

 ポリエステルとナイロンを使ったシアサッカー織物も出展する。4方向に伸び、ゴルフウエアなどのアウターやパンツに最適だ。

 このほか、リサイクルレーヨン使いなど、サステ素材使いも訴求する。

〈メカニカルストレッチ織物/宏遠興業〉

 仮撚り加工糸(DTY)から織布・編み立て、染色加工、縫製まで一貫展開する宏遠興業(エベレストテキスタイル)は、メカニカルストレッチのアウトドアやカジュアルウエア向け織物を打ち出す。

 メカニカルストレッチの織物は、再生ポリエステル100%を使ったモノマテリアル素材だ。メランジ効果(光沢のあるまだらの色)が特徴で、レディース向けのカジュアルアウター生地として提案する。

 タスラン加工を施したナイロン66使いのパンツ地や、肌に触れる側にドビー織物を使ってドライ感を持たせたダブルフェイス織物などを出展する。

〈水上スポーツ向け織物/フア豊〉

 台湾・桃園でラミネート加工を手掛ける生地商社のフア豊(フアフン)は、水上スポーツ向けの3層構造の透湿防水織物を目玉に据える。

 透湿防水素材は、再生ポリウレタン膜を使用する。同膜は、高強度やストレッチ性、リサイクル性、分解性を持ち、無毒で環境に優しい点が特徴だ。

 同社は3年前、同膜を開発し、「PORLITE」(ポーライント)ブランドとして欧米顧客への売り込みを開始した。

 有機フッ素加工物(PFAS)問題でゴアテックスの従来品が欧州で使えなくなる中、水上スポーツやユニフォームなどにその代替品として採用が進んでいる。

〈ニットデニムとミャンマー縫製/達歩施〉

 デニム調編み物「ニットデニム」のパイオニアの達歩施(ダブス)は、ニットデニムを使った製品を出展し、同デニムとミャンマー縫製の優位性を訴求する。

 ボトムやジャケットなどのサンプル製品を通じ、素材のストレッチ性の高さと肌触りの良さなどを紹介する。素材は、精製セルロース繊維と綿の混紡糸使いなどを打ち出す。春夏素材は涼感、軽量、秋冬素材は保温の機能を持つ。

 同社は、中国・広東省の自社工場でニットデニムとそれを使ったデニム製品などを生産。ミャンマーでは、600人規模の縫製工場を運営している。

〈越生産のラミネート編み物/五綸〉

 ベトナムと台湾の自社工場で、経編み地と丸編み地を生産する五綸(ウールエン)は、ベトナム生産のラミネート加工を施した編み物など、春夏素材を中心にアピールする。

 ラミネート編み物は従来、台湾工場のみだったが、ベトナム工場でもこのほど生産を始めた。今回はベトナム生産の開発品を出展する。

 ポリエステル100%のUVカット素材は、丸編み地と経編み地の双方を紹介する。薄くて軽い一方、UVカット効果が高いのが特徴。

 抗ピル・抗スナッグ加工を施した、軽量で通気性の良い経編み地や、涼感性の高い丸編み地なども訴求する。

〈ストレッチ織物を充実/尚益染整加工〉

 染色加工大手の尚益染整加工(サニー・スペシャル・ダイニング&フィニッシング)は、さまざまなバリエーションのストレッチ織物を訴求する。

 メカニカルストレッチとスパンデックス使いの双方を出展する。2方向と4方向に伸縮する生地をパンツ地や、シャツ地として提案する。

 独自の超撥水(はっすい)加工を施した織物ブランド「Solapel」(ソラペル)も紹介する。

 非フッ素系撥水剤を使用し、独自技術により表面、裏面ともに高い耐洗濯性を持つ。120回の洗濯後も70%の撥水効果を維持すると言う。

 アウトドアからデイリーウエアまで幅広く使えることをアピールする。

〈ハンドメードの高級ドレス/中阿行〉

 高級ドレスメーカーの中阿行(ミンクウッド)は、ハンドメードのイブニングドレスを出展する。

 今回展では、クラッシック、モダン、エレガントなどのデザイン別でアピールする。

 同社のドレスは、台湾のほか、日本やフランス、スイスのメーカーの素材を使用し、ベテランの職人が縫製している。

 同社は、1985年創業の台湾を代表するドレスメーカーだ。ハンドメードのイブニングドレスとブライダルドレスを、欧米や日本をはじめ、世界各国の顧客に販売している。

〈サステ使いの越製編み物/綿春〉

 ベトナムと台湾でジャカード編みなどを生産する綿春(MDSグループ)は、サステイナブル素材を使ったベトナム製のファッション向け編み物などを出展する。

 凸凹感のある編み物は、サステを追求したリサイクル糸を使用している。吸水、撥水(はっすい)の機能を持つ。

 ポリエステル100%を使った軽量で薄い編み物は、ラミネート加工により透湿防水機能を付与。アウトドアのジャケットや、スイムウエアなどに使える。

 写真をジャカードで表現した編み物は、通気性の良さや、写真の再現性の高さをアピールする。

〈機能性のパンツ・シャツ地/呈紡〉

 織物製パンツ地とシャツ地を手掛ける専門商社の呈紡(ズアーンファン)は、ポリエステル使いの機能織物を訴求し、新規顧客の開拓を図る。東京展は今回が初出展。

 縦方向に伸びるパンツ地は、経糸にナイロンとスパンデックス、緯糸に綿とレーヨンの混紡糸を使った素材。ゴルフウエア向けとして提案する。

 機能性ポリエステル「クールマックス」を使ったシャツ地は、吸水速乾機能のほか、天然素材ライクのため手触りが良いのが特徴だ。

 ポリエステルの強撚糸を使った織物は、パンツからシャツまでさまざまなアイテムに使用できることを紹介する。

〈撚糸一貫で織物生産/偉全〉

 偉全(ウィッシャー)は、台湾で糸加工から一貫で織物を生産する。天然素材調のファッションやユニフォーム、スポーツ向けの織物を今回アピールする。

 ポリエステル100%のウール調先染織物は、起毛加工と抗ピリング加工を施したファッション向け素材だ。

 ポリエスエルとリネンの混紡糸を使ったリネン調織物は、速乾とUVカットの機能性を持つ。シャツ地として訴求する。

 ポリエステル100%のツイード調織物は、通気性と速乾性が高く、ストレッチ性も持つ。

 同社は、台湾北部で撚糸工場と織布工場を運営する。

〈天然調パンツ・シャツ地/大宇〉

 台湾中部と北部で仮撚り加工糸(DTY)から織布を一貫生産する大宇(ユニバーサル)は、高品質なDTYを使って差別化した天然素材調のパンツ地やシャツ地をアピールする。

 ポリエステル100%使いのリネン調織物は、メカニカルストレッチによる着心地と、シワ加工の自然な風合いを追求する。

 ポリエステル長繊維とリネン、スパンデックス使いの交織織物のパンツ地とシャツ地は、軽量でストレッチ性が高いことが特徴。

 同社は近年、日本市場の開拓を強化。オフィスユニフォームやフォーマルウエアの顧客との取り組みを拡大している。

〈PP100%の弾性パンツ地/ティ亜〉

 合繊織物メーカーのティ亜(ティアラ)は、ポリプロピレン(PP)100%使いのストレッチ性を持つパンツ地をはじめ、ポリエチレン(PE)や高強度ナイロンを使ったユニークな織物を訴求する。

 PP100%ながら、特殊な技術でストレッチ性を施したパンツ地を開発した。ストレッチ性とドライ感、速乾性が特徴だ。

 今回は起毛加工を施した秋冬向けのPP/PE素材を豊富に取りそろえる。PPとポリエステルの紡績糸を混紡し、保温性を高めたインナー向け素材のほか、価格競争力を追求した高強度のナイロン使いの編み物も紹介する。

〈サステな麻紙糸「アバセル」/中日特種紙廠〉

 製紙メーカー、中日特種紙廠(CRP)は、製紙の生産技術を応用し開発した麻紙糸「アバセル」を訴求する。

 今回展では、強度を高めた6番手と43番手の開発品を前面に打ち出す。これらの糸を使ったサンプル生地を出展し、清涼感のある風合いをアピールする。

 アバセルの原料は、マニラ麻(アバカ)。マニラ麻の繊維は強靭(きょうじん)で、熱や湿気にも強い。肥料や農薬を使用せずに栽培されるサステイナブルな原料。この繊維をフィリピンなどから輸入し、アバセルにする。アバセルは生分解性を持ち、水に強い。綿よりも軽量で通気性が高い。

〈軽量追求した経編み地/達紡〉

 インナーとスポーツウエア向けの編み物を台湾・桃園の自社工場で生産する達紡(テックス・タイル)は、薄さと軽さを追求した経編み地などを打ち出す。

 今回展では軽量で薄い経編み地を、アウトドアウエアなどに使われる3層構造生地の裏地として提案する。この経編み地は、サステイナビリティーを追求したリサイクルナイロン使いだ。

 欧州のインナーブランド向けとして開発したジャカードの経編みは、薄さが特徴。インナーのほか、スポーツウエアにも適している。

 リサイクルポリエステルを使ったメカニカルストレッチの経編み地なども出展する。

〈独自糸使いの差別化織物/東紡興業〉

 染色一貫の織物メーカー、東紡興業(ワイドプラス インターナショナル)は、独自開発の糸使いで差別化した織物など、欧米ブランド向けで実績のある素材を中心に出展する。

 独自開発のポリエステル異形断面糸「ミニアール」を使った生地は、吸水速乾や涼感の機能を持つ。織物と編み物の双方を展開する。ここ数年、欧米ブランド向けの販売が伸びている。

 汗染み防止の編み物は、ポリエステル使いで、糸の機能により汗染みを目立たなくする。

 ナイロン100%の3層構造の織物は、薄くて超軽量だが、撥水(はっすい)性と耐水圧が高い。

〈保温性追求の織物/晶安〉

 台湾の出資工場や中国の協力工場で、織物と編み物を生産する晶安(ラボ・テックス)は、保温性の高いキルティング風織物を出展する。

 キルティング風の織物はフリース素材で、保温性が高い。独自のメカニカルストレッチ糸「ドリーミー ダスト」を使用している。同糸は、吸湿・速乾などの機能性と高級感ある見た目が特徴だ。この織物を、ベストやトレーナーなどの秋冬アウター素材として提案する。

 高耐久素材「コーデュラ」を使った編み物の開発品も出展する。摩擦や擦り切れに対する高い耐性が特徴で、ユニフォームの顧客開拓を狙う。

〈UVカット機能糸使い/崇躍〉

 生地商社の崇躍(エリック・テックス)は、独自のUVカット機能糸「サンモア」使いの編み物と、ダウンウエア向け織物を出展する。

 サンモアは、2019年に独自開発したポリエステル使いの丸編み地向け糸だ。糸の機能と生地の組織によって高いUVカット性を付与する。軽量で薄く、通気性が高いことが特徴。ポリエステル100%と、スパンデックス使いの二つのバリエーションがある。消臭機能なども付与できる。

 同社の主力のダウンウエア向け織物も出展する。北米の大手ダウンウエアブランドなどで豊富な実績を持つことをアピールする。

〈パイナップル使いの編み物/世堡〉

 アパレルから工業用まで、幅広い編み物を生産する世堡(スーパーテキスタイル)は、サステイナブルを追求した素材使いを打ち出す。

 アバカ繊維や、パイナップル繊維などの素材を使った編み物を出展する。いずれも抗菌など、麻と同じ機能を持つ。柔らかい手触りや、個性的なジャカードによる模様をアピールする。スポーツウエア向けとして提案する。

 同社は、台湾の自社工場で生産。月産能力は、染色加工ベースで100万ヤードだ。用途別の生産構成比は、工業用7、服地3。1990年代から工場の環境対策に取り組む、サステに力を入れるメーカーとして知られている。