新テキスタイル総合展(3)/高付加価値品で来場者迎える/吉田染工/KIRARI/コスモテキスタイル/近藤紡績所/サンウェル/アルテックス/モリリン
2025年05月08日 (木曜日)
〈一貫でのモノ作り訴求/吉田染工〉
糸染めの吉田染工(和歌山県紀の川市)は、染めから編み、製品という一貫したモノ作りを訴求する。これまでPTJ展に10回以上出展し、毎回1~3社の新規依頼を獲得。小ロット生産への柔軟な対応が評価され、継続オーダーへとつながるケースが増えている。
同社は「染めから編みまでそして製品へ」というキーワードを掲げて、「SOMEKARA」(ソメカラ)プロジェクトを進めている。小ロット生産への対応や毎シーズンごとにインレー編みの新しい企画を打ち出すなど、常に新鮮な提案に取り組む。
今回展では、26春夏に向けに、リサイクルポリエステルを主としたインレー編み素材を提案。柔らかなラメリリヤーンと光沢のあるラメ糸を組み合わせ、自社染色の糸を一部使用。編成時にフリンジを作るなど、ダイナミックな表現に挑戦した。
さらに、レース編みとフェアアイルジャカードを組み合わせたニット素材も紹介する。繊細なレース編みをベースにニットらしいフェアアイル柄をボーダー状に配した。ハイゲージ、多配色で表現したジャカード柄が夏らしい新鮮な雰囲気を生み出す。
テキスタイルに加え、自社編み地を使用したTシャツやスカート、過去素材を活用した縫製サンプルも展示。製品パターンを想定した編み地設計で、カットロス削減や縫製効率の向上を可能とする。横編みニットの特性を生かし、細かな仕様変更にも柔軟に対応する。ニット生地、ニット製品に加え、主力事業である糸染めの顧客開拓も目指す。
〈キュプラ・ジアセが中心/KIRARI〉
中国の生地商社である輝羅麗貿易〈上海〉の日本子会社KIRARI(大阪市中央区)は、キュプラ繊維やジアセテート繊維使いの生地をメインに訴求する。
キュプラ繊維使いでは経糸にキュプラ細番手糸、緯糸にキュプラ綿の強撚糸を使ったローン、ジアセテート繊維では紡績糸使いの生地をそろえる。さらに経糸にトリアセテート短繊維と再生ポリエステル短繊維の混紡糸、緯糸にキュプラ長繊維とリネン複合糸使いも提案する。
輝羅麗貿易〈上海〉は日本製生地の中国での備蓄・販売が主力。KIRARIは日本製生地の仕入れ拠点として2022年に設立し、国内販売にも注力するものの、日系企業の中国縫製拠点へ中国からの供給が多いと言う。
〈表面感、加工感を追求/コスモテキスタイル〉
生地商社のコスモテキスタイル(大阪市中央区)は2014年以降、PTJ展に20回以上出展してきた。今回のTTS展でも得意のカジュアル素材をベースに表面感や加工感、風合いにこだわった商品ラインアップで商機をつかむ。
綿100%のオーガニック綿強撚糸使いの生地は、糸質の良さを最大限引き出す特殊加工を施すことで、特徴的なシャリ感を残しつつ、綿らしくない合繊タッチが特徴。
ポリエステルとナイロンを複合した特殊マイクロファイバーを高密度に織り上げた生地は、超高収縮加工とタンブラー加工を組み合わせることによって、ハリ・コシを持ちながらもピーチタッチのような独特なぬめりを表現する。
〈独自糸使いの「コフィー」/近藤紡績所〉
近藤紡績所(名古屋市中区)は、大町工場(長野県大町市)で開発した独自糸使いの生地を打ち出す。独自糸の一つである「アルモニコス」を使用した織・編み物「KOFY(コフィー)などを提案する。
アルモニコスはピマ綿「シルクコット」のサイロコンパクト糸で、毛羽が少なく光沢感が特徴。生地にはさらにマーセライズ加工を施して、光沢感を高めたタイプもそろえる。
コフィーはじめ独自糸による織・編み物は高価格であるため、各種展示会を通じて価値を認めてもらえる顧客開拓に重点を置く。
コフィーはこのほど、豊島が運営する生地・副資材卸販売のインターネットモール「テキスタイルネット」でも色生地9品番の販売を始めた。
〈綿調再生ポリ素材など/サンウェル〉
サンウェル(大阪市中央区)はTTS展で、「独自素材の提案から製品対応まで」と「海外法人や各関係先との連携によるグローバルオペレーション」という二つのワンストップ機能を訴求する。
2千品番・2万色を備蓄する生地商社として、このほどリニューアルしたネット販売サイト「サンウェル・ネット」もアピールし、登録者数拡大を狙う。
今展では、綿100%でシボ感、軽さ、優しい肌触り、透け感が特徴のシフォンや、経糸に綿を模した再生ポリエステル糸を使い、綿のようなナチュラルな風合いと表情を持たせた「マルーデコットンライトウェザーストレッチヴィンテージ」などを打ち出す。
〈デニムに合う生地訴求/アルテックス〉
ミセス向け別注プリント地が主力の生地商、アルテックス(京都市)は、デニムスタイルに合うアウター、インナーを意識したテキスタイルを打ち出す。カラーはインディゴ系、ピンク系に絞り込んだ。
今回展から全体テーマを設けてカラー、プリントデザインで統一感を出した出展内容に変更。プロダクトアウト指向の訴求を行う。既存品の応用ではなく、同展専用の新たなモノ作りを行い、新規開拓に結び付ける。
「アルガンベール」は引き続き提案する。アルガンベールは独自の機能加工品で保湿性に優れたアルガンオイル、吸放湿性を持つシルクプロテイン、保湿力があるシュガースクワラン、抗菌防臭効果を持つウンデシレン酸モノグリセライドを後加工により付与する。
〈快適さ実現する差別化素材/モリリン〉
モリリンは今回展で原料の配合や紡績技術を独自に組み合わせた、快適な着用を支える差別化素材を訴求する。機能や特徴を持つ差別化糸使いの生地や製品見本をそろえ、来場者の開発意欲の向上を支援する。
綿のようなソフトな風合いで、防透け性や紫外線防止などの機能を持つ再生ポリエステル糸「m+」(エムプラス)は、肌着や軽衣料に適する。繊度が細かいポリエステル短繊維を独自の紡績技術でコンパクト糸に仕上げる。フルダル加工を施して透けにくくした。抗ピル性も持つ。
ポリエステル長繊維を芯糸にキュプラをカバーリングした糸「ルミナス」使用の生地もそろう。衣服内の湿気を調整し、蒸れやべた付きを抑える機能で、快適性を実現する。