だからこの仕事が好き⑤/AOKI 「オリヒカ」商品部リーダー 兼田佑美さん
2025年05月02日 (金曜日)
仕事を通じて自己成長
オリヒカを代表する商品と言えば、「サードスーツ」や「フラミンゴパンツ」。企画開発を手掛けたのが兼田佑美さん(39)だ。今でこそレディース事業の存在感は大きいが、ここまでの道のりは順風満帆だったわけではない。
中学生の頃からおしゃれが好きだった。高校時代にアパレル企業のバイヤーを目指そうと決めた。そのため、大学ではマーケティングを学んだ。アパレルショップでアルバイトもした。
2009年にAOKIに入社。オリヒカ商品部でレディースを担当して、今年で11年目になる。
企画開発に携わった商品の中で、とりわけ思い入れが深いのが美脚効果をうたう「フラミンゴパンツ」だ。働く女性が増えてパンツの需要が高まる中、「どんな体形の女性がはいても脚が奇麗に見えるパンツを作りたいと思った」。商品化するまでに1年半かけた。通常は半年から8カ月程度だ。
「股上の深さや裾幅の広さ、視覚効果など誰がはいても奇麗に見えるようシルエットを徹底的に研究して開発した」と振り返る。脚がシュッと細くて長いフラミンゴ――。商品のイメージを強く印象付けられるように付けたキャッチーなネーミングも、20~40代の女性を引き付けた。
22年に発売して以来、累計販売数は2万5千本(3月中旬時点)を突破した。素材やシルエットを変えてシリーズ化し、現在3型を展開する。新たに高機能なフラミンゴパンツも開発中で、近く商品化の予定だ。
「今は女性社員も増えたが、紳士用スーツから始まった会社なので、少し前までは男性社員が圧倒的に多かった」と指摘する。「レディースの新商品開発会議で企画した製品の特徴やこだわりをプレゼンしても細かいニュアンスが伝わらず、もどかしい思いもした」と打ち明ける。
そんな苦労も乗り越え、サードスーツやフラミンゴパンツといったヒット商品が生まれた。「社内の風向きも変わり、皆が応援してくれるようになった」
入社後に繊維製品品質管理士の資格を取得した。「例えば新しい素材を使って商品開発を進める際に、品質面などについて素材メーカーとも対等に話し合える知識が身に付いたことは大きな収穫」と語る。昨年は色彩検定の3級と2級に合格。カラーコーディネートなどに生かしている。
「仕事は自己成長につながる」。そう実感している。「繊維製品品質管理士も色彩検定も学生時代に取ることもできた。でも当時はそんな気は全くなかった。目標に向かって仕事をしているうちに、もっと勉強してスキルや専門知識を身に付けたいと思うようになった」と話す。
今後の夢については、「いつかオリヒカのレディース専門店を出したい」と目を輝かせた。
(毎週金曜日に掲載)