ごえんぼう

2025年05月14日 (水曜日)

 生地輸出を手掛けるある商社の現場トップが拡大に成功したこつを、「現地の文化を理解し実践すること」と語る▼例えば米国ブランドのバイヤーの多くは「ざっくばらん」な会話を好むらしい。飲食を共にし、砕けたやり取りを重ねた結果、互いの距離感が縮まり、生地の成約につながる▼筆者は約10年前、海外服地見本市の現地取材を通じ、「日本の課題~MU・PVから~」という連載を執筆。そこで課題の一つとして「会話力」を挙げた。日本人特有の奥ゆかしさがゆえか、一部を除き、海外バイヤーと積極的に会話しようとする姿が見られなかったことを指摘させてもらった▼日本は、奥ゆかしさや勤勉さ、真面目を背景にした「工」の面では世界中から高い評価を得ている。一方、会話力ではこの特性がネックにもなる。輸出拡大の成就には、「工の力」と「会話力」両方の兼備が不可欠。商工連携の重要さが改めて増している。