東洋紡 不織布は国内生産縮小
2025年05月14日 (水曜日)
東洋紡は2025年度(26年3月期)に環境・機能材事業で売上高1170億円(前期比5・6%増)、営業利益90億円(12・5%増)、機能繊維・商事事業で売上高950億円(3・2%減)、営業利益13億円(160・0%増)を見込む。引き続き収益性改善に向けた構造改革を進め、不織布の国内生産縮小と海外への移管などを実施する。
25年度も引き続き基本方針の一つに要改善事業(低収益・赤字セグメント)対策を掲げる。その一つが、東洋紡エムシーが担う環境・機能材セグメントの不織布マテリアル事業。既に着手している国内生産体制の見直しを加速させることで黒字化にめどを付ける。
岩国事業所(山口県岩国市)で生産しているポリエステルスパンボンド不織布とポリエステル短繊維の生産を縮小し、台湾企業などへの委託生産への切り替えを進める。縮小の規模などは明らかにしていないが、竹内郁夫社長は「かなり踏み込んだ改革となる」と話す。
また、機能繊維・商事セグメントはエアバッグ基布事業の収益改善ロードマップを着実に実行し、26年度からの黒字化を目指す。東洋紡せんいが担う衣料繊維事業も引き続き資産効率の改善を進める。そのために国内の学販シャツ縫製工場の縮小など構造改革を進める。
機能材、繊維とも増益 25年3月期
東洋紡の25年3月期連結決算は、売上高4220億円(前期比1・9%増)、営業利益166億円(85・1%増)、経常利益105億円(52・1%増)となり、純利益は為替差損などの影響で20億300万円(18・4%減)だった(短信既報)。
環境・機能材事業は売上高1108億円(3・9%減)、営業利益79億6100万円(70・6%増)と大幅増益となった。高機能ファイバーの海外販売が堅調に推移したほか、不織布マテリアルも国内生産体制の見直しが進み、収益性が改善した。
機能繊維・商事事業は売上高980億円(2・5%増)、営業利益5億3900万円(前期は10億4400万円の損失)と黒字浮上した。衣料繊維は円安の追い風もあって中東民族衣装用織物が収益をリードし、国内生産拠点の集約の効果が出ている。エアバッグ基布も価格改定が進み、収益性が改善した。
今期は連結売上高4400億円(4・3%増)、営業利益210億円(26・1%増)、経常利益155億円(46・4%増)、純利益45億円(124・6%増)を見込む。
構造改革の成果で利益倍増 東洋紡せんい
東洋紡せんいの25年3月期単体決算は、売上高322億円(前期比14・9%増)、営業利益8億6800万円(108・2%増)、経常利益16億3900万円(169・1%増)となった(短信既報)。国内外の市況回復に加え、国内工場の構造改革などの成果で利益が倍増となった。
スポーツ事業は差別化生地の販売が堅調だったが、円安による海外調達コスト増加などで増収増益ながら営業黒字化には至らなかった。マテリアル事業は糸売り中心に堅調に推移し、増収増益。ユニフォーム事業はワークウエア向け短繊維織物の販売が減少したが、サービスウエア向け合繊織物やニット販売が堅調に推移し、別注案件の増加もあって増益だった。
スクール事業はビジネスシャツ、体育服向け、ニット生地は堅調だったが、学生服向け短繊維織物は在庫調整の影響を受け、全体としては前年度並みとなった。輸出織物事業は中東向けが強い需要を受けて販売数量を伸ばし、円安の追い風もあって大幅な増収増益となった。
今期は売上高460億円、営業利益20億円、経常利益20億円を見込む。