シキボウ/ギア上げて成長へ変革/新中計がスタート
2025年05月15日 (木曜日)
シキボウは、今期(2026年3月期)から3カ年の中期経営計画をスタートさせた。新型コロナウイルス禍からの本格的な回復と持続的な成長を目指し、「稼ぐ力の向上」を最優先課題に掲げる。13日の決算会見で、尻家正博社長は「前中計では原材料価格の高騰や円安の影響で計画未達となった部分もあったが、基盤整備は進んだ。新中計ではこれを土台に、ギアを上げて成長への変革を実行していく」と述べた。
新中計では、「稼ぐ力の向上」のほか、「新中核事業の成長拡大」(食品・化成品事業、複合材料事業)、「経営基盤の強化」(DX推進、人的資本経営)、「サステイナビリティー経営への取り組み」(GHG排出量削減、環境配慮型商品の開発)を四つの基本方針として掲げる。数値目標としては、28年3月期に売上高480億円(25年3月期比22・8%増)、営業利益25億円(同85・7%増)を目指す。
前期に7期ぶりの黒字化を達成した繊維部門は最終年度に売上高256億円(同26・8%増)、営業利益9億5千万円(同約4・5倍)を計画する。尻家社長は「事業の選択と集中を進め、不採算部門を整理できた」ことから「収益構造の改善に一定の道筋が見えた」と説明する。
新中計の繊維部門の戦略では、尾﨑友寿上席執行役員繊維部門長は「サステ素材の販売拡大や、海外生産拠点を活用した外・外ビジネスの強化、中東市場でのさらなるシェア拡大などを推進し、収益拡大を目指す」と言う。
設備投資は3年間で総額67億円を計画し、「デジタル投資や環境対応投資も積極的に行い、持続的な成長基盤を構築する」(尻家社長)。繊維部門ではシキボウ江南(愛知県江南市)に太陽光パネル設置を計画。インドネシア紡織加工会社メルテックスでは、ボイラー熱源のウッドペレット活用のほか、紡績・織布・加工の各工程で必要なものをそれぞれ更新する。
尻家社長は、「新中計の3年間で、これまでの基盤強化の成果を生かし、着実に収益力を高める」と強調。繊維部門をはじめ、「各事業で『稼ぐ力』を向上させ、企業価値を高めていきたい」と述べた。