クラボウ 27年度営業利益130億円
2025年05月16日 (金曜日)
クラボウは今期(2026年3月期)から、3カ年の新中期経営計画「Accelerate‘27」(アクセル27)を始動した。売上高1650億円(24年度比9・5%増)、営業利益130億円(同26・1%増)を計画する。
14日の決算会見で、西垣伸二社長は「成長市場向けの注力事業の拡大と、基盤事業の収益力強化を両輪で進め、企業価値の向上を着実に図りたい」と述べた。
前中計では売上高以外の各利益段階で目標を達成。「事業ポートフォリオ改革を推進し、利益段階では過去最高を更新できた」(西垣社長)。新中計のアクセル27では「加速する」という意味を込めて、半導体関連やライフサイエンス分野など成長市場に照準を定める。R&D強化、人材投資なども重点施策に掲げ、3年間で設備投資210億円、M&A100億円を投じる計画だ。
繊維事業は27年度に売上高490億円(24年度比1・0%増)、営業利益12億円(同16倍)を計画。構造改革を一段と進め、今年6月に閉鎖予定の安城工場(愛知県安城市)の生産機能を海外に移管。テキスタイルイノベーションセンター(TIC、同)を軸に、独自技術による高付加価値製品の開発に注力する。
今期は、季節変動で採算が悪化していた糸やテキスタイルなど、安城工場を活用していたビジネスを縮小。売上高435億円、営業損失7億円の大幅な減収減益を見込む。TICの開発機能強化と、海外協力工場との連携によりグローバルオペレーションを推進。「価格競争に巻き込まれない」(北畠篤取締役)高付加価値製品へ軸足を移し、中計達成を目指す。
前中計に対し、新中計の期間中では「かなり設備投資をしていく」(北畠氏)として、海外移管先や徳島工場(徳島県阿南市)への投資を進め、構造改革と高付加価値化に取り組む。
純利益2期連続過去最高
クラボウの2025年3月期連結決算は、売上高1506億円(前期比0・4%減)、営業利益103億円(12・3%増)、経常利益117億円(15・6%増)、純利益90億1400万円(33・8%増)だった(短信既報)。半導体製造装置向け高機能樹脂製品の受注などで化成品事業がけん引、経常利益は4期連続、営業利益・純利益は2期連続過去最高を更新した。配当金は年間180円(80円増)に増額した。
繊維事業は売上高485億円(5・0%減)、営業利益7500万円(前期は2億5700万円の営業損失)。原綿を改質した機能綿糸「ネイテック」などの原糸販売が順調。暑熱環境下における体調管理システム「スマートフィット」も販売を伸ばし、営業損益は黒字に浮上した。
今期は売上高1440億円、営業利益80億円、経常利益95億円、純利益95億円を計画する。