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トンボ/先行生産で安定供給/今後は在庫適正化図る

2025年05月16日 (金曜日)

 トンボは今春の入学商戦で、計画的な先行生産によって順調に供給が行えた。今後は引き続き新規物件の獲得に力を入れるとともに、この間に増加した在庫の適正化を図る。また、2027年の稼働を目指し、基幹システムの刷新にも取り組む。

 性的少数者(LGBTQ)への配慮から、従来の詰め襟、セーラー服を、性差を感じさせないブレザーへと制服をモデルチェンジ(MC)する動きが全国的に広がってきた。小ロット化がより顕著になるなど、生産の難易度が上がる中、今春も早期対応によって安定的に生産、納品ができた。MC校の獲得も学生服、体育着ともに順調だった。

 先行生産に注力した一方、在庫が増加した。下半期(25年1~6月)以降は在庫の削減を進める。藤原竜也社長は「備蓄生産を絞った上で、一昨年の期末在庫高レベルにまで戻していきたい」と説明する。また、別注化が進行していることから、ブレザーの素材や型を集約しながら、生産の効率化にもつなげる。

 原材料費や物流費、人件費など、さまざまなコストが高騰する中で進めてきた価格改定交渉は順調に推移する。新規物件の獲得や価格改定の効果などもあり、25年6月期の売上高は「目標(460億円)に近いところまではいけそう」と見通す。一方、コスト上昇が継続していることから、利益面は「コストアップに相殺され、目標には届かない」とする。

 23年に稼働を始めた東京物流センター(茨城県笠間市)は、1年目に東京都内、2年目には千葉、埼玉、神奈川と東京本社が管轄する商圏全体が対象となった。在庫金額はピーク時に前期の2・5倍になったほか、アソートや個人刺しゅう件数も増加している。社員も13人から19人へ増員した。

 体育着向けなどで昇華転写のニーズが高まっていることから、増産体制も敷いた。紅陽台物流センター(岡山県玉野市)に隣接する土地建物を購入し、こちらへ美咲工場(同美咲町)にあった昇華転写設備を移設した。さらに、昇華転写プリンターを2台、プレス機1台、自動裁断機(CAM)を1台増設し、それぞれ13台、3台、5台体制で昨年から稼働を始めている。藤原社長は「昇華転写はまだまだ伸び代があり、設備増設の余地もある」と説明する。

 基幹システムのリニューアルも行う。当初はクラウド化する計画だったが、データの連携スピードや費用などを検討した結果、自社内に専用システムを構築して運用する従来のオンプレミス型を採用しながら、システムの中身を刷新することにした。27年の稼働を予定する。

 グループ会社の瀧本(大阪府東大阪市)とはシステム統合によって業務連携の基盤ができた。藤原社長は「生産の相互乗り入れも来期から始まる予定」と話す。