伊藤忠商事/ハンズオン推進で事業成長へ/各部門長が示す今後の方針

2025年05月19日 (月曜日)

 伊藤忠商事の繊維カンパニーはこのほど開いた会見で、いずれも新任の各部門長が、抱負と共に今後の事業方針などを以下のように述べた。

【ファッションアパレル部門長・辻貴由氏】

 現職への就任に際し、部門内に向け「マーケット・イン×モノ作り」を合言葉に業績を着実に伸ばす方針を伝えた。この方針に基づき、2025年度もスポーツ、カジュアル、海外、サステイナブルの4分野に継続して注力する。

 スポーツ分野では、「デサント」について、日本市場での直営店出店の加速、韓国・中国と連携したシューズの強化など、ハンズオンでさらなる成長を後押しする。

 「アンダーアーマー」の総代理店であるドームは24年度、卸向けのビジネスが伸び悩み、業績が落ち込んだ。現在、優れた実績を持つ人材を採用して結成した新しいチームが、抜本的な商品力強化と生産プロセスのアップグレードを実行し、収益性の高い事業の構築を図っている。

 カジュアルでは、エドウインのブランディング・プロモーションを強化している。

 海外では、中国の事業会社、伊藤忠繊維貿易〈中国〉(ITS)が、スポーツ関連ビジネスを中心に好調を維持している。今後もITSを中心にして、有力パートナーとのトレードを推進していく。

【ブランドマーケティング部門長・岡村俊明執行役員】

 当部門の事業は厳しい局面にあると認識するが、業界全体に現状打破の機運が高まっているとも感じている。実際、新規事業への意欲が旺盛な顧客からの引き合いが増え、成約にもつながっている。

 こうした状況下で力を入れている取り組みを2点挙げる。

 1点目は、基幹ブランドのハンズオン化。「ヴィヴィアン・ウエストウッド」「フィラ」など主力ブランドについて、事業運営に直接携わるという〝垂直型〟への移行を図る。

 2点目は、大手のアパレルやセレクトとの成約。24年には、イタリアの高級かばんブランド「FPM」の日本国内での独占輸入販売権を取得し、マッシュスタイルラボを通じての販売を開始した。

 4月には、アダストリアと共同で、英アウトドアブランド「カリマー」を日本国内で展開するカリマーインタナショナルの全株式を取得した。

 現在も複数の著名なブランドとの成約に動いており、25年度も引き続き攻めの姿勢を貫いていきたい。

 並行して、足元の優良な資産である既存ブランドの磨き上げにも注力していく。