菅公学生服/今春も安定供給実践/価格改定もおおむね順調
2025年05月19日 (月曜日)
菅公学生服は今春の入学商戦で、早めの材料手配や新規注文の締め切りの前倒しなどによって安定的な生産、納品に努めた。さまざまなコストが上がる中、価格改定もおおむね順調に推移。来春に向けても「安定供給が大命題」(黒田健介専務)として、早期対応に動く。
性的少数者(LGBTQ)への配慮で、制服を従来の詰め襟、セーラー服から、性差を感じさせないブレザーへモデルチェンジ(MC)する動きが、ここ数年強まっている。そのような中、今春の入学商戦では早期対応など計画的な生産によって、「ここ2~3年で見ると一番スムーズに流れた」。MC校の獲得は例年並みに推移した。
今春の傾向として、「エリアによって温度差があるが、お下がり率が高まった」。一般消費者のリユースなどへの意識が高まる中、「リサイクルという違った視点が加わっているようだ」と指摘する。
原材料費や人件費など、あらゆるコストが上昇する中、価格改定も順調に進んだ。安定供給を重視し、在庫を積み増したことから、今後は在庫の計画的な圧縮が課題となる。
昨年、東京エリアの代理店業務を担っていた東京菅公学生服(東京都中央区)のほか、販売代理店の豊国商事(滋賀県長浜市)を子会社化したことなどもあり、2025年7月期は増収を見込む。利益面では、同社は前期に2期連続の最終赤字となったが、今期は黒字転換を見通す。
設備投資では、シャツ生産が主力の米子工場(鳥取県米子市)の隣接地にブレザーやスラックスを生産する工場を増設する。当初は24年10月の竣工(しゅんこう)を計画していたが、設計の見直しや建築許可などの問題で着工が伸びていた。7月半ばに着工し、来年7月の完成を予定する。
倉敷工場(岡山県倉敷市)の生産本部の建屋の建て替えも進めている。6月末の完成予定で、「半年ほどは半稼働させながら、1年ほどかけて備品などを入れていく」とする。
グループ会社のカンコーマナボネクト(岡山市)で取り組む非認知能力の育成やキャリア教育事業は、学校教育支援などを「学校だけでなく、教育委員会や地域を巻き込みながら進めている」(田原正彦取締役)。黒田専務は「教育業大手がやらない隙間をしっかりサポートしていく」と話す。