プロダクトアウトの独自品 ~サスマ展から①
2025年05月20日 (火曜日)
紡績技術で複合材料
「第5回サステナブルマテリアル展大阪」が14~16日、インテックス大阪(大阪市住之江区)で開催された。出展した繊維企業に見られたのがニーズに合わせた開発品ではなく、プロダクトアウトによる独自製品。同展を通じて用途を探索するという、メーカー色の濃い展示となっていた。
東洋紡せんいは熱可塑性炭素繊維・ガラス繊維複合紡績糸「CfC yarn」、「GfC yarn」などを訴求した。ともに複合紡績技術により熱可塑性の弱点である樹脂含侵性を解消したもの。長短複合の紡績技術を生かした複合材料は珍しく、海外企業も含めて来場者の関心を集めていた。
対外的に初披露のGfC yarnは曲げ強度が現状、814MPa(メガパスカル)ながら900メガパスカルの開発も進む。強度だけならばCfC yarn(熱可塑性繊維にナイロンを使用したタイプは1176メガパスカル)の値の近くまで可能で、成型後も厚みを約1・5倍にすれば炭素繊維と同等の強度を付与できる。しかも、価格は半値というメリットもあると言う。
同展では新開発の銅合金蒸着ポリエステルスパンボンド不織布(SB)「メタルギア―BR」、ポリエステル粒わたを不織布化した「エアークロス」も新提案した。
メタルギア―BRは赤外線透過率を抑制するほか、蓄熱性に優れ、抗菌性、制電性などの特徴を持つ。これまでアルミ蒸着タイプを「メタルギア」として寝装・寝具用途に販売実績はあるが、アルミは強アルカリに弱く、業務用洗濯には向かなかった。しかし、メタルギア―BRは銅合金のため強アルカリにも耐性がある。この点も訴求した。
エアークロスは寝装・寝具用の粒状ポリエステルを不織布化したことで偏りを防ぐだけでなく、水を通さず、気体は通せる機能があることからフィルターなどに使えないか、同展を通じて探索した。その他、ナイロンケミカルリサイクル(マスバランス方式)糸「ループロン―C」なども紹介した。