プロダクトアウトの独自品 ~サスマ展から②

2025年05月21日 (水曜日)

綿の再資源化で樹脂補強

 「第5回サステナブルマテリアル展大阪」で東洋紡せんいが紡績技術を炭素繊維・ガラス繊維複合材料に生かす一方、シキボウは紡績技術ではなく、原料のコットンに着目したプロダクトアウト製品を提案した。

 それが「コットンレジン」。昨年発表したもので、外部展示会では3度目の披露となる。過去2回の展示会を通じて、ボタンのような衣料副資材向けでは一部量産が始まる見通しと言う。

 自動車をはじめ産業資材用途でも試作開発が進んでいるが、物性データの確立も含めて、同分野向けの量産にはまだ時間がかかりそうだ。

 コットンレジンは生産工程や廃棄衣料から回収したコットンをセルロースマイクロファイバー(CMF)化し、ポリプロピレン樹脂に配合し粒状のペレットにする。セルロース系の機能材としてよく知られる、セルロースナノファイバー(CNF)に比べてコストを抑えられるメリットもある。

 このペレットを使用し樹脂製品を製造すると、引っ張り、曲げとも強度、弾性率などの各種物性が向上し、成形品では薄肉化やそれに伴う軽量化につながる。摺動(摩耗)性も高まる。摩擦が発生しやすい製品に配合すると、POM(ポリアセタール)樹脂製品と同等の性能を発揮すると言う。

 しかも、生産工程で発生する廃材や回収された廃棄衣料をリサイクルし、セルロースマイクロファイバー化するため、再資源化、石油由来樹脂の使用量削減にも結び付く。環境に優しいバイオマス原料を利用した複合材であり、用途に応じた開発も可能だ。

 マイクロファイバー化する粉砕量産設備は今春、子会社のシキボウ江南(愛知県江南市)に導入(ペレット化は外注)しており、2025年度(26年3月期)からの本格販売を見込む。

 糸ではなく、主要原料であるコットンを活用した新技術は紡績らしい。