ごえんぼう
2025年05月23日 (金曜日)
世界保健機関(WHO)で「パンデミック条約」が採択された。医薬品の配分など国際連携強化がうたわれるが、WHO脱退を表明した米国の不在に早期発効が懸念される▼2度目のトランプ政権下で米国内も世界も分断と対立、混迷の度を増した印象が強い。独善的な正義と怒りが横行し、考えが異なる人同士の対話がより一層難しくなっているようだ。国際社会はウクライナとロシア、イスラエルとハマスの停戦でも依然妥協点が見いだせない▼ある米国メディアは、こうした状況を「怒りの伝染病」と表現した。心理学では「情動感染」と呼ばれる。喜怒哀楽の感情が周囲の人に影響し広がること。共感細胞といわれる脳のミラーニューロンが作用しているとされる。怒りは広く深く伝播しやすいという▼ただ“怒り=攻撃”と限らない。交渉や相談という形を取ることもある。共感細胞で相手や物事の未来に想像力を働かせたい。