プロダクトアウトの独自品 ~サスマ展から④

2025年05月23日 (金曜日)

合成皮革技術も進化

 「第5回サステナブルマテリアル展大阪」では開発素材を出品し、来場者との情報交換から新用途を探索する繊維企業もあった。その1社が東洋紡子会社の合成皮革製造、東洋クロス(大阪市中央区)。合成皮革では光透過性表皮材や合成皮革技術を使った湿式多孔質膜など開発品を紹介した。

 光透過性表皮材は光透過層と遮光層からなり、着色剤の品種やその量を工夫。バックライトを当てると、柄が浮かび上がるというもの。透過率の調整も可能で、熱可塑性のPVCのため熱成形もできる。さらにタッチパネルとしての操作もできる。市場にはフィルムを使うタイプはあるものの、それでは凹凸感などの触感性がない。それも解消した。自動車内装材や家電、家具などを想定する。

 湿式多孔質膜は湿式コーティング技術を応用。多孔質セルが非対象構造で目詰まりしにくく、細孔径が小さく捕集性に優れる。気相・液相フィルター向けの開拓を狙う。

 開発品はないが、新規開拓のため出展した企業もあった。スパンデックス製造の東レ・ライクラはその1社。国内の既存用途が縮小する中で新規開拓を狙いに初出展した。展示は既存商品だったが、サステイナブルに関心が高い来場者には製品からスパンデックスを回収するポストコンシューマー技術も紹介。昨年には技術を確立しており、滋賀事業場(滋賀県大津市)には試験設備も置いていると言う。

 特殊ミシン糸製造の永井撚糸(大阪市西区)は高耐久性合成皮革「ロベール」などを提案。ポリカーボネート系ウレタンを使用しカーシート地に求められる加水分解テスト10年基準をクリア。剥離強度がほとんど落ちない。17種類200色以上で、1㍍からのカット販売に対応する。

 短繊維不織布製造の金井重要工業(大阪市北区)は、プリント配線基板用の研磨ホイールとポリッシングパットに絞って提案した。両者は大阪市、大阪産業局による大規模展示会活用プログラム「GLOBAL―Tex」での出展だった。

(おわり)