ごえんぼう

2025年05月26日 (月曜日)

 先月発行の春季総合特集で、信州大学繊維学部長の村上泰教授と京都工芸繊維大学繊維科学センター長の奥林里子教授の対談を掲載した。その中で紙幅の都合で触れられなかった話がある▼村上教授は「開発で本当に重要なのは、誰が資金を出すかという点だ」と指摘する。以前、信州大学と香港の研究機関が共同でポリエステル・綿を分離できる装置を開発。H&Mファンデーションから「潤沢な資金が提供され、パイロット生産まで一気に進める環境が整っていた」▼だが、その装置を日本に持ち帰ろうとしたものの、制度や慣習でのしがらみが多く「断念せざるを得なかった」。最終的に香港で実用化された▼「守るべきものは守りながらも、海外の仕組みに柔軟に歩み寄ることも必要」。特に国際共同研究では海外へ柔軟に合わせることができなければ「国際競争力を失いかねない」。今、さまざまな場面で柔軟性が問われている。