繊維ニュース

ひと/ユニチカの社長に付いた藤井 実 氏/ステークホルダーつなげる

2025年05月26日 (月曜日)

 地域経済活性化支援機構(REVIC)の支援の下、事業再生計画に取り組むユニチカ。計画実行の重責を担っての登板となる。「計画の達成が最低限の目標であり、同時に最大の目標でもある」と強調する。

 技術畑出身の藤井さん。入社後、22年間は合成繊維の基礎研究や商品開発を担当し、スポーツ素材やユニフォーム素材の原糸開発や加工開発も担当した。その時に開発した商品には現在も販売が続いているものも多い。

 その後、ガラス繊維事業に移り、「いろいろとカルチャーショックを受けながら、生産工程の改革などにも取り組んだ」という創意工夫の人である。2023年からは開発・製造部門のトップである技術開発本部長兼生産統括本部長としてユニチカのモノ作りを支えてきた。

 「自分が社長になるなど想像もしていなかったので、内示を受けた際にはさすがに即答できなかった」と率直に打ち明ける。見方によれば“火中の栗”を拾うような役回り。だが、REVICから経営陣が派遣される中、ただ一人のユニチカ出身の取締役として「やはり自分がやるしかないと思った」と話す。

 経営立て直しに取り組む中で、従業員の士気をどうやって維持していくかも問われる。「幸い市況は回復基調にある。業績という具体的な成果を上げる中で、従業員が自信を取り戻せるようにしたい」と意気込む。

 同時に、REVICとしっかりと連携して事業再生計画を実行していかなければならない。「従業員という内部のステークホルダーと、REVICという外部のステークホルダーをつなげるのが自分の役割」というように、全社一丸となって事業再生に取り組む考えを強調する。

 趣味は料理。ただ、レシピ通りに作るのではなく、「自分流にアレンジするのが好き。家族からは『普通に作って』と怒られますが」と笑う。こちらも創意工夫の人である。“新生ユニチカ”に向けて、どういった創意工夫のアレンジを見せてくれるのか期待が高まる。(宇)

 ふじい・みのる 1987年京都工芸繊維大学大学院繊維学研究科修了、ユニチカ入社。2018年執行役員ガラス繊維事業部事業部長代理、19年執行役員ガラス繊維事業部長、22年上席執行役員、23年上席執行役員技術開発本部長兼生産統括本部長、同年上席執行役員技術統括部長、25年4月30日付で社長。大阪府出身。63歳。