東京から世界へ~新たな息吹 TTSレビュー②
2025年05月27日 (火曜日)
新商品・素材、新たな試み
「Tokyo Textile Scope」(東京テキスタイルスコープ、TTS)は、東京都立産業貿易センター浜松町館の展示エリア2~5階の全てで行われ、2階と4階が出展者ゾーン。4階には長繊維織物企業や刺しゅう・レース、服飾資材企業などがブースを構えた。
東レは今回、基本としてピックアップは行わず、会社や素材のプロモーションを中心とするなど、これまでとは異なる打ち出しを行った。素材は、複合紡糸技術「ナノデザイン」と人工皮革「ウルトラスエード」を軸に提案し、デザイナーとのコラボレーション企画も充実した。
ナノデザインでは、和紙のような風合いの「カミフ」、絹調素材「シルック」の新商品「シルック美來」、非フッ素で高い撥水(はっすい)機能を持つ「デューエイト」などを並べた。ウルトラスエードでは定番のカラーバリエーションなどを紹介した。
デザイナーとの協業では、ファッションブランド「ディウカ」と連携し、五つの作品を制作して展示した。形状保持性などが特徴の「uts―Fit」を使用した作品は、素材が持っている膨らみ感などがうまく表現されており、来場者の注目度も高かった。
STXは、インド産オーガニックコットン「コンフィル」を積極訴求した。通常、オーガニックコットンは、3年以上農薬や化学肥料を使わずに栽培する必要があるが、コンフィルは4年以上というより厳しい基準を設けているのが特徴の一つだ。
特殊紡績によって毛羽を抑えることで奇麗な表面感を実現しているほか、インド綿特有のぬめり感や光沢感などにも優れている。「GOTS」認証も取得している。糸や丸編み、織物などで25春夏物から展開を始めているが、TTSをきっかけに素材の認知度を高めたいと話した。
田村駒は、シンジオタクチックポリスチレン(SPS)繊維「スナップテックス」、トリコット生地の「コンフィール」、3種類以上の機能を融合した「ターム」、天然素材のような風合いを持つポリエステル「ポリネックス」の4商材を中心に紹介した。
スナップテックスは、疎水性を持つSPS繊維を生地の内側に使用し、肌側をドライに保つ。スポーツやアウトドア分野をメインターゲットに、25秋冬物で試験的に提案を開始し、26春夏物から本格展開に入る。コンフィールは同社で生機を備蓄しており、トリコットの課題になるロットの大きさを解消している。