ATAジャパン 膜材は不可欠な存在
2025年05月28日 (水曜日)
産業用繊維の国際団体であるアドバンスト・テキスタイルズ・アソシエーション(ATA)の日本部会、ATAジャパンはこのほど、恒例のスプリングミーティングとして2025年日本国際博覧会(大阪・関西万博)を視察した。
会員企業である太陽工業(大阪市淀川区)と山口産業(佐賀県多久市)のアテンドで、両者が膜構造物の施工などを担当したパビリオンや施設を見学。万博でテント・膜構造物が果たす役割の重要性を改めて確認した。
スプリングミーティングには過去最高となる95人が参加した。2班に分かれて太陽工業が施工したガスパビリオン、飯田グループ×大阪公立大学共同出展館、いのち動的平衡館、Null2、いのちの遊び場クラゲ館、いのちの未来、山口産業が施工した東エントランス営業施設シェード、NTT館、韓国館、インド館、イタリア館、クウェート館を見学した。
いずれも最新の素材や技術が導入されている。例えば、ガスパビリオンは大阪ガス発ベンチャー企業のSPACECOOL(東京都港区)が開発した放射冷却素材「スペースクール」を使用。太陽工業、伊藤忠商事、カンボウプラスが共同で建築用膜材料としての評価を行った。特殊素材のため現場溶着できず、工場溶着で対応するなど施工での工夫を重ねた。
山口産業が施工したクウェート館は、翼を広げた鳥のような造形と真珠を模したドームで構成する複雑なデザインが特徴。自由な局面表現が可能な膜構造だからこそ実現したものだが、何千種類にも及ぶプレートを適切な場所に取り付ける作業は困難を極めた。ドイツの設計者とも製作面での協議を重ねるなど苦労を重ねて完成にこぎ着けた。
視察を通じて万博の施設には膜材・膜構造物が必要不可欠な存在となっていることを改めて確認すると同時に、建築材料としての可能性を改めて示した。また、日本のテント・膜材業界が国際的にも高い技術的競争力を持っていることが一段と鮮明になった。