東洋紡/高性能ウイルス除去膜開発/透過量2倍、処理時間3分の1
2025年05月29日 (木曜日)
東洋紡はこのほど、大塚化学(大阪市中央区)と高性能ウイルス除去膜を共同開発した。バイオ医薬品製造工程の精製プロセスに使用するもので、従来品と比較して単位時間当たりの医薬原液透過量が約2倍に増加し、処理時間を約3分の1以下に短縮することができる。
東洋紡と大塚化学は2024年に中空糸膜による医薬品製造プロセス領域での連携契約を結んでいる。今回の共同開発は、その成果の一つ。東洋紡の孔径制御技術を応用し、膜を構成する中空糸の内側と外側で異なる傾斜構造を実現した。有用成分を透過しながら夾雑(きょうざつ)物が膜内部で目詰まりするのを抑え、安定したろ過が可能になる。
また、大塚化学のポリマー技術を組み合わせた膜原料は、膜表面にウイルスや夾雑タンパク質が堆積するのを抑える。これにより単位時間当たりの医薬原液透過量を増やし、ウイルス除去処理の作業時間を3分の1以下に短縮でき、生産効率向上とコスト削減につながる。
処理圧力やウイルス濃度、pH価などユーザーの要求仕様に合わせて孔径や処理液量、耐久性なども調整することができるため、抗体医薬品や遺伝子治療薬などさまざまなバイオ医薬品の製造プロセスに適用することも可能だ。4月末から医薬品メーカーや研究機関などへのサンプル提供を開始した。