特集 スクールユニフォーム(9)/アパレル/ハネクトーン早川/このみ/金原/吉善商会/トンボ
2025年05月29日 (木曜日)
〈ハネクトーン早川/栃木工場で設備更新/生産効率高める〉
スクールネクタイ製造卸、ハネクトーン早川(東京都千代田区)の今春入学商戦の売り上げは、前年同期比約4%増と伸長した。価格改定の浸透や、ブレザー化の流れが追い風となった。来春には高校向け新規案件も控えており引き続き好調に推移する見通し。
栃木工場(栃木県下野市)の生産効率を高めるため、年内に老朽化した自動裁断機(CAM)2台を入れ替えるとともに、新たにワンタッチタイ用の穴開け機1台を導入予定。
生地を対象としたRFID(無線通信による個別管理システム)の活用も順調に進んでおり、従来7日間ほどかけていた作業が半日に短縮されるなど大きな成果を上げている。将来的には製品にも活用を広げ効率化につなげていきたいとする。今春、新卒が3人入社した。5年後に迎える創業100周年に向けて、働き方改革にも積極的に取り組んでいく方針。
制服モデルチェンジは、都心部の学校で一巡し、徐々に1校当たりの生徒数が少ない地方の学校に移行しつつある。来春商戦は新たなニーズに対応した男女兼用ネクタイや高校制服への提案強化で拡販に注力していく。
2025年4月期売上高はスクールネクタイが好調だった半面、接客向けユニフォームに勢いが見られず前期比微減収となる見通し。
〈このみ/インバウンド需要旺盛/裾上げシートを訴求〉
制服ブランド「コノミ」を展開するこのみ(新潟県妙高市)は、旺盛なインバウンド需要を受けて、東京・原宿や大阪・梅田の実店舗売り上げが前期比2桁%増で伸長している。今春投入した新製品「くるりん裾上げパンツ」も好評だ。
実店舗では、円安の長期化もあり欧米からの来店者が増えており、セーラー服やスクールバッグなどの販売が好調と言う。
くるりん裾上げパンツは、成長に伴うパンツの裾長さ問題を解決する製品で、自由制服のパンツ全てを同仕様に変更した。パンツの裾に付いている特許取得の特殊パーツ「くるりん裾上げシート」を内側に折り返す回数に応じて、股下66~78㌢サイズの丈の長さを約4㌢間隔で調整できる。着用したままでも調整が可能。
詰め襟学生服の襟部分の芯部材をヒントに肌触りよく形状記憶性能があるパーツを約3年かけて開発した。家庭洗濯、クリーニングにも対応。男女兼用で全10色。価格は1万5400円。
業務提携しているユニフォーム製造卸の金原(横浜市)との取り組みは、神奈川県内の中学校標準服を中心にさらに拡大を図っていきたい考え。
〈金原/グループシナジー促進/25年6月期は増収増益〉
学生服製造卸、金原(横浜市)の2025年6月期連結決算は売上高70億円で増収増益見通し。昨秋、私学伝統校への制服販売で実績を持つ首都圏の老舗販売店をグループに迎えている。
今春の学生服商戦では平均12~13%の値上げが受け入れられ利益確保も順調に進んだ。業務提携している制服ブランド「コノミ」を展開するこのみ(新潟県妙高市)との協業制服も神奈川県内で着実に採用実績を積み増している。
老舗販売店が新たにグループに加わったことについて金原光宏社長は「有力販売店と手を組んでいくことで学生服の商圏拡大を目指していきたい」と話す。同じく22年にグループ化したスクールコート製造販売で全国トップシェアのユース(栃木県佐野市)とともに、製販両面で学生服事業を強化していく方針だ。
金原のグループ企業は現在9社。学生服以外に、交通系、警察、消防向けなどそれぞれの分野で強みを持つ企業で構成する。1月にはグループ全体での相乗効果を高めるため、社内にグループ戦略企画室を設置した。
〈吉善商会/私学人気再燃が追い風/今期増収増益見通し〉
吉善商会の今春入学商戦は、高校の授業料無償化を反映して私学人気が再燃していることから受注数は順調に伸びた。価格改定も浸透しており2025年7月期は増収増益を見通す。
来春に向けては、新規の受注がある一方で喪失案件もあり横ばいで推移しそうだ。ただ直販化の流れができてきているため増益は確保できる見通し。
独自の戦略商品である高ストレッチ性ポリエステル生地は、価格を抑えて日頃のメンテナンスの手間を省きたいというニーズに応えた商品として注目度が高まっている。再生素材の採用やリユース販売など、学生服を取り巻くさまざまな環境変化にも対応していく方針。
ジェンダーレスに対するプロジェクトでは、社会課題解決に注力する企業と協業して、見た目と心の問題、そしていかに楽しく制服を着用できるかを学校環境の整備なども含めて検討を進めている。
このほか、事業の第2の柱を目指すビジネスユニフォーム分野は、交通系やインフラ系企業からの受注もあり順調。売上構成比ではまだ1割だが、来期以降の見通しも比較的明るい。
〈独自タータンを制作/トンボ〉
トンボは来年に創業150周年を迎えるに当たり、同社が提携するスコットランドの老舗タータンメーカー、ロキャロン社とオリジナルのタータンチェックを制作した。
ブルーは「コーポレートブルー」、ネービーは「コンプライアンスの徹底」、ピンクは「ダイバーシティ経営」、グリーンは「人と自然を大切にした価値ある製品づくり」、ホワイトは「ファーストコールカンパニーの実現」と、それぞれの色で同社の姿勢を表した。今後は150周年記念事業における、さまざまなアイテムに使用する。