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サハシ特殊鋼 紙おむつリサイクル実装へ

2025年06月02日 (月曜日)

 特殊鋼材の販売などを行うサハシ特殊鋼(名古屋市港区)は、使用済み紙おむつのマテリアルリサイクルの事業化に取り組んでいる。

 摩擦熱を利用した粉砕乾燥技術とシキボウの消臭技術を組み合わせたスキームを構築しており、「3年後をめどに実用化」を目指す。

 独自に開発した粉砕摩擦乾燥装置を用いる。使用済み紙おむつを分別や洗浄することなく同装置に投入。処理物を粉砕する時の摩擦熱で一気に乾燥粉砕する。乾燥物をポリプロピレン樹脂などと複合してペレットを作り、プラスチック製品に再生する。

 乾燥する際などに発生する臭気を抑えるためにシキボウの「デオマジック」を利用する。香水のメカニズムを応用して生まれた消臭技術で、不快な臭いに「香り成分」を組み合わせて“良い香り”に変化させる。今回のリサイクルスキームには、シキボウの技術も重要な要素となる。

 サハシ特殊鋼によると、1㌔の使用済み紙おむつを約2分で乾燥粉砕できると言う。運搬などを考えると、病院や介護施設などの医療現場に摩擦乾燥装置を設置するのが理想とする。130℃以上の高温で殺菌するため大腸菌などは死滅し、「基本的には装置の洗浄は不要」としている。

 紙おむつを処理した乾燥物が「原料」として認められれば有価物として収集運搬できるが、産業廃棄物に位置付けられた場合は運搬などで許可が必要になる。「自治体で判断が分かれることになる」とするなど、事業化にはまだ多くの課題が残っていると話す。

 今回のマテリアルリサイクルスキームは、愛知発の環境イノベーションの創出や実装を目指す「あいち環境イノベーションコンソーシアム」で採択されたプロジェクト。