東レの中国事業/差別化、コスト競争力を強化/25年度も増益目指す
2025年06月02日 (月曜日)
【上海支局】東レグループは中国で2025年度、利益のさらなる拡大に取り組む。「差別化商品の拡大と戦略的プライシング(創出した価値を価格に適切に反映させる戦略)の推進、コスト競争力の強化により実現する」(東麗〈中国〉投資の三木憲一郎董事長)方針だ。
25年3月期売上高は、前期比11・6%増の4882億円で、うち繊維事業が6割強を占めた。利益は「差別化戦略が功を奏し、売り上げ以上に伸びた。利益率の高い商品の販売が増えている」と、三木董事長は説明する。
繊維、非繊維ともに順調だった。繊維は、長繊維生地メーカーの東麗酒伊織染〈南通〉(略称TSD)の売り上げが、過去最高を更新した。地場や北米のスポーツ、カジュアルブランド向けの差別化素材を伸ばした。非繊維は、23年まで新型コロナウイルス禍の影響を引きずった機能化成品の回復が鮮明になった。
中国経済は、不動産市場の低迷や消費の鈍化に直面し、アパレル市場ではファッションやカジュアルのブランドが苦戦する。しかし「差別化商品を手掛ける当社は、ボリュームゾーン市場の状況とはイコールにならない」(三木董事長)と言う。
米トランプ政権の「相互関税」の影響で先行き不透明感が増す中、25年度業績は若干のプラスを計画する。差別化戦略と戦略的プライシング、コスト競争力の強化に引き続き取り組むことで「(相互関税などが響き)たとえ売り上げは落ちても、利益は増える可能性がある」。
各工場でのコスト削減と生産の平準化、東レグループ全体や各素材のブランディングにも力を入れていく。