ごえんぼう
2025年06月04日 (水曜日)
「きょうもきれいな夕日ね」「きれいだなあ」「当たり前じゃないか、明日も明後日も50年後も、夕日はずっときれいだよ」「そうね、そうだといいわね」▼映画『Always 三丁目の夕日』の東京の夕日を眺めながら話す親子のワンシーンだ。夕暮れは一日を区切るクライマックス。現代の都市生活でその区切りを意識する機会は多くないが、昔は今以上に強く感じていたことが、夕暮れを表わす豊富な言葉に見て取れる▼「夜の帳(とばり)が下りる」、暗くなってくると誰の顔か分からなくなる「たそがれ(誰そ彼)」、昼の人の時間と、夜の神々や鬼、魔の時間が交差する「逢魔(おうま)が時」。昔の服は麻使いだったため、ごわごわで体の線が分かりにくく、暗くなってくると誰だか見分けにくかった点も、逢魔が時の怖さを増幅させたとされる▼21日は一年で最も日の入りが遅い時期に当たる夏至。夕暮れも見ものかもしれない。