気候変動に「通年商品」
2025年06月06日 (金曜日)

オンワード樫山は5日、年間を通して需要がある通年商品の販促を始めた。店頭などでシーズンレスの一斉プロモーションを仕掛ける。MD改革も同時に進め、商品MDの軸は夏と冬の「二季」、その間を結ぶシーズンレスの通年商品という考え方になる。
通年商品の構成比は25%から40%に拡大した。今後は「季節ではなく気温、気象軸で対応する」(山﨑圭子マーケティンググループ執行役員)と説明。四季に基づくMD構成を改め、近年の気候変動や購買動向の変化を捉えたプロモーションとなった。
猛暑や残暑、1カ月以上後ろ倒しになった寒い冬を想定したと言う。合繊素材のニット製品や羽織りアイテムを充実させるほか、デニム製品、カジュアルなスエットなどさまざまな場面で着用できる通年商品を増やす。
基幹ブランド「23区」では、サマーニットの商品量が前年比で約3倍となる見通し。長い夏を想定し、軽いカーディガンやプルオーバー、スカートもニットで用意。透け感をポイントに大人女性の生活シーンを意識した。
次世代ブランド「アンフィーロ」では、セットアップやニット製品、さらに東レと共同開発した機能素材「ブリーズムーブ」を採用。同素材は高い通気性と吸水速乾性を備え、ブラウス2型、ワンピース1型を展開する。同ブランドは「機能美」をコンセプトに急成長してきたが、さらに素材面で優位性を高める。
今回のプロモーションでは、多様な世界で活躍する3人をメンター(指南役)として起用した。バイオリニストの高嶋ちさ子さん、俳優の柚希礼音さん、俳優でモデルのハ・ヨンスさんが自身の経験や価値観、ライフスタイルの視点からアイデアを提供。6~8月のコーディネートを提案するミーティングにも参画した。
販促を機にオンワード独自のデザイン性や機能、フィッティングなどを消費者に周知する。山﨑氏はファッション性だけではなく「着心地までデザインする」と述べた。通年商品は長期間の販売を想定し、値引き販売の抑制にもつながる。