東麗酒伊織染〈南通〉/24年度売上高が過去最高/差別化生地けん引
2025年06月11日 (水曜日)
【上海支局】東レの中国法人で、長繊維生地を製造販売する東麗酒伊織染〈南通〉(TSD)の2024年度(25年3月期)業績は、前期に比べ増収増益だった。売上高は23年度に続き過去最高を更新した。中国内販と、北米向けの差別化生地がけん引した。
中国では景気低迷が続いているが、「織物、編み物ともに付加価値を追求した機能素材を打ち出し、売り上げを拡大した」と、魏暁峰総経理は説明する。好調なスポーツ・アウトドアブランドだけでなく、カジュアルブランド向けも伸ばした。
欧米向け輸出は、23年度に比べ微増となった。欧州市場の商況が厳しかったが、北米スポーツブランド向けを中心に売り上げを拡大した。
24年度も主力の織物に加え、差別化した丸編み地と経編み地の開発と販売に注力した。その成果が表れ、編み物の構成比を約10%に拡大した。「(編み物を)まだまだ増やしていく」(魏総経理)と言う。
エアバッグの基布がメインの産業資材の売上高は、微増した。日系自動車メーカー向けのエアバッグ基布は芳しくなかったが、地場メーカー向けが健闘した。
24年度の事業別構成比は、生地(服地)が85%、産業資材が15%となった。
足元では米国の「相互関税」や欧州経済の低迷を受け、欧米向け生地輸出の不透明感が増している。内販も、カジュアルやファッションブランドの業績低迷が続き、商況は全般的に厳しい。そのため、25年度は、好調な地場スポーツ・アウトドアブランド向けの開拓をさらに強化していく。