シキボウ 高通気「アゼック」で攻勢
2025年06月12日 (木曜日)
シキボウのユニフォーム事業は今期(2026年3月期)、高通気生地「アゼック」を中心に差別化素材の販売を伸ばすとともに、製品供給にも力を入れる。
ユニフォームメーカーのカタログ定番商品や、別注向けで差別化素材の提案を強めながら、増収を目指す。
25年3月期は、カタログ定番商品や自動車工場向けの別注案件など新規の受注拡大が寄与し、前の期比で10%超の増収となった。春夏向け主力素材のアゼックではバイオ由来ポリエステルを用いるなど、サステイナブルという切り口で新たな価値を提示。ユニフォームにとどまらず、幅広い分野へ採用が広がった。
値上げの効果で売上総利益も増え、営業損益は水面下まで改善が進んだ。まだ値上げが浸透していない部分も残っており、引き続き価格転嫁を進める。
今期は、市場の価格競争に左右されにくい差別化素材の販売比率を一層高め、収益力の向上に取り組む。既に差別化素材の売り上げ構成比は50%を超え、特に需要の長期化が見込まれる夏物シーズンに向け、アゼックの販売を加速。前期にあと一歩まで迫った事業全体の黒字化を狙う。
アゼックでは別の技術と組み合わせ、さらなる進化を追求。強撚糸使いに加え、ポリウレタンを使わない特殊技術によるストレッチ加工「パワール」、毛羽立ちを抑えてシャープな表面感を持つ特殊紡績糸「クールボディ」と組み合わせた提案で新たなニーズを捉える。
今期からユニフォーム課では製品事業を機能衣料課として分離。ユニフォーム課は生地販売、機能衣料課は製品OEMに特化する。両課で連携し、より細かな顧客対応ができる体制となった。製品供給の売上高に占める割合は10%未満にとどまるが、早期に20%へ引き上げる。
アゼックをはじめとする機能素材の海外展開も見据え、北米や欧州市場への参入に向けた市場調査を開始。アジア市場では、日系企業向けにユニフォームの提案を強化するなどで市場を深耕する。
汗染み防止に関心高く
シキボウでは4、5月に大阪、東京などで開いた展示商談会で、特殊な糸使いと編み方の工夫により汗染みを効果的に抑える新素材「スエットコントロール」が来場者の関心を集めた。
従来の汗染み対策が生地の後加工による防水・防汚を基本としていたのに対し、スエットコントロールは特殊な糸使いと編み設計の工夫により、肌側で汗を吸収しながらも表面ににじませないという特徴を持つ。快適な着心地を保ちつつ、「見た目の清潔感も維持できる素材として評価された」と言う。





