繊維業の評価基準 JASTI~広島県アパ工組説明会から~(下)

2025年06月12日 (木曜日)

繊維検査機関と社労士が監査

 JASTIは日本繊維産業連盟が統括事務局として全体を管理する。傘下にある人権デュー・ディリジェンス推進コンソーシアム(人権DDコンソ)と全国社会保険労務士(社労士)会連合会が監査機関事務局となり、三者が連携して運用環境を整備する。監査は人権DDコンソの正会員であるカケンテストセンター、日本繊維製品品質技術センター、ケケン試験認証センター、ボーケン品質評価機構に加え、社労士が実施する。

 まず申請者の問い合わせを監査機関がヒアリングする。申請者がJASTIへの理解を深めた上で、監査機関が依頼方法を説明する。監査申請書のほか、就業規則や工場プロフィールなど監査機関から求められた書類を提出し、不備がなければ監査申請の正式受理となる。

 その後、監査員が現地にて書類の確認や従業員などへのインタビュー、防火設備といった現地確認などの監査を実施。現場確認用の工場監査レポートを発行し、指摘内容を説明する。監査機関の監査結果のレビューや承認を経て最終判定用の工場監査レポートを発行し、申請者がこれを受理することで完了となる。

 申請が込み合っている場合を除き、監査申請の受理から監査レポートの発行までは通常2~3カ月ほどかかる。費用について、経済産業省製造産業局生活製品課の髙木重孝課長は「一般的な国際認証の相場観は50~100万円ほど。これに比べると比較的費用は抑えられる」と説明する。各監査機関への問い合わせが必要だが、交通費や宿泊費を除いて約20万円とみられる。

 社労士による監査は7月ごろからの開始を予定。全国社労士会連合会が実施する監査研修とともに一定の要件を満たした社労士を監査対応社労士としてリストに公開する。

 社労士への依頼では留意点もある。監査できるのは前述した監査対応社労士のみ。JASTIの監査は第三者による独立した監査であるため、監査に携わった社労士は事前のコンサルや事後のフォローアップに携われない。また、顧問社労士などの監査への同席や立ち合いも不可となる。

(おわり)