紡績企業史研究会/大原孝四郎・孫三郎を再検討
2025年06月13日 (金曜日)
紡績を中心とした産業史・企業史を研究する研究者と繊維企業OBの有志が参加する紡績企業史研究会の例会がこのほど、綿業会館(大阪市中央区)で開かれた。今回はクラボウの初代社長である大原孝四郎と2代目社長である大原孫三郎の歴史的位置などを再検討した。
クラボウで人材開発部長などを歴任し、クラボウの人材教育の変遷などをまとめた『クラボウ教育史』を編さんした綱島康高氏が「人間尊重の理念を継承した倉敷紡績の教育史」を報告した。綱島氏はクラボウの人材教育のベースに大原孫三郎の労働理想主義と人格工場主義があることを指摘する。
大阪国際大学経営経済学部の伊藤末高教授は「倉敷紡績の初期経営と大原孝四郎」を報告した。先行研究にある地方資産家の3類型(地元企業への出資に積極的な「地方名望家的資産家」、地方の企業勃興の主体である「地方企業家的資産家」、配当収入が目的の「レントナー的資産家」)を応用し、大原孝四郎の位置を検討した。
クラボウの経営史や大原孝四郎の経営活動と投資高度などを分析した結果、地方名望家的資産家であると同時に地方企業家的資産家の側面も強く、大原孝四郎の歴史的位置の奥行に関して研究会では議論が白熱した。