繊維ニュース

スタイレム・瀧社長 「ならでは」を追求

2025年06月16日 (月曜日)

 スタイレム瀧定大阪(大阪市浪速区)がモノ作りへの投資に意欲を見せている。尾州産地の織布工場、小塚毛織(愛知県一宮市)と合弁会社Canale Japan(カナーレジャパン、愛知県一宮市)を、北陸産地で糸加工などを手掛けるシモムラ(石川県小松市)と合弁会社WS(同宝達志水町)を設立した。瀧隆太社長に狙いを聞いた。

――なぜ直接的な設備投資に踏み切ったのでしょう。

 当社の業態は設備を持たない商社ですが、実は長い歴史の中で設備を保有したことはあります。縫製子会社もあったし、設備を貸与したこともあります。

 日本の産地や染色加工場に生地生産を依頼し、備蓄(ストック)しつつ国内外に販売するのが当社の主軸事業です。ただ、日本のモノ作りのサプライチェーンは非常に厳しい状況に陥っています。危機感を持って動いた、というのが今回の2件の新合弁会社設立です。

 海外にも生産の場を広げていますが、当社の生地の7割以上は国産です。ここが揺らぐと当社も揺らぐ。日本のサプライチェーンを守ることは当社の使命だと考えています。

――守るという言葉が出ましたが、その他の目的は。

 攻めの要素もあります。設備を直接的に保有することで商品開発力をさらに強化して事業の付加価値化を進め、世界中のブランドに日本ならではの生地を売っていくというミッションです。そのためにはスタッフがモノ作りに精通する必要があります。「ならでは」の商品を深い部分で説明できないようでは世界への拡販は成りませんからね。「売る」ためには「作る」を知る必要があると考えます。

――今後の投資計画は。

 今回の二つの案件は、ビジョンや人柄、商品、技術などに共感して実現したものです。当社が追求する「ならでは」という方向性が共鳴した結果と言えます。

 日本にはまだまだ世界で高く評価される優れたモノ作りがあります。後継者や資金不足によってそれがなくなるのは本当に惜しい。その観点で言えば、3件目、4件目の案件が出てくる可能性もありますね。合弁会社設立という形にはこだわりません。その都度最適な形を作れればいいと考えています。

 世界中のトップブランドに生地を供給するというのは夢のある素晴らしい産業です。モノ作りに携わる人たちにもっとスポットを当て、日本の繊維産業には魅力があるということを若い人たちに知ってもらいたい。究極的にはそういう思いがあります。