未来を再構築する商社繊維事業/2024年度決算から(1)
2025年06月16日 (月曜日)
利益面でばらつき見える
総合・専門商社の2025年3月期繊維事業決算は、全9社のうち8社は増収だった。営業利益を公表した7社のうち増益は4社だが、その中でも微増と大幅増に分かれるなど、全体的にばらつきが見られた。メーカー系商社は5社中4社が増収営業増益だった。(表参照、クラレトレーディングは24年1~12月期)。
最大手の伊藤忠商事は増収増益。アパレル関連事業は、海外スポーツ分野を中心に業績が堅調に推移した。デサントの連結子会社化に伴う再評価益もあり、純利益は過去最高を更新した。
帝人フロンティアは、売上高は前年並みだが、営業利益が大きく伸びた。衣料繊維分野と産業資材分野ともに好調を維持した。
MNインターファッションは、成長顧客との取り組み強化や、商品調達パートナーとの連携・提案力強化による事業拡大・収益強化を図る。今期(26年3月期)の業績については増収増益を予測。
豊田通商は今期も、使用済み衣料品などのサーキュラーエコノミーシステムの構築を推進する。
蝶理は増収営業減益。繊維原料やテキスタイルの輸出、婦人衣料品関連が堅調に推移した。物流経費や人件費の増加により営業利益は減少した。
GSIクレオスは、増収で、営業利益はほぼ横ばい。ファイバーは、主力のインナー用機能糸・生地が好調だった。
ヤギは微増収増益。高付加価値商材の販売拡大などで利益面が伸長した。
田村駒は微増収だが、衣料部門は為替問題や人件費高騰に、政変の影響でバングラデシュの生産打撃を受け、業績は停滞した。
三共生興は増収だが、ファッション関連事業の先行投資が響き、営業減益だった。
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次回から、主要各社の25年3月期決算の詳細を伝える。