LIVING-BIZ vol.119(11)/フランスベッドHD/蔭山/東洋紡せんい/ニトリHD/ロマンス小杉/コアラスリープジャパン
2025年06月16日 (月曜日)
〈フランスベッドHD/全事業でレンタル拡大/EC向け商品開発も〉
フランスベッドホールディングス(HD)は2026年3月期、全事業でレンタルサービスを拡大し、持続可能な社会の実現に向け、サステイナビリティー経営を加速させる。
メディカルサービス事業では、需要が増えてきた介護保険対象外の一般向けレンタルも強化。妊婦を含む在宅向け、老人ホーム向けで家具や家電なども拡充する。インテリア健康事業では、活況な宿泊施設向けのエクストラベッドやマッサージ機器などのレンタルをさらに伸ばす。
メディカルでは引き続き、M&A(企業の合併・買収)を含む増収、インフラ整備による営業効率向上も図る。レンタル資産の投下やサービスセンターの増強、人工知能(AI)活用による配送ルート最適化など自動化を促進し、賃金上昇分を超える労働生産性の向上に取り組む。
インテリアでは、商品の軽量化や圧縮マットレスなど電子商取引(EC)向けの開発・販売も推進。マットレスやベッドフレームなどの機種統廃合、計画生産による商品供給体制の最適化も進める。
医療施設やインテリアで引き合いが出てきたベトナムなど、海外市場展開も強化。これらにより連結売上高623億円(2・8%増)、営業・経常利益各47億5千万円(それぞれ1・1%増、1・3%増)、純利益30億5千万円(3・5%増)を見込む。
前期は連結売上高605億円(2・3%増)、営業利益47億円(2・3%増)、経常利益47億円(0・6%増)、土地収用に伴う売却損で純利益29億円(5・9%減)。メディカル事業は、決算期変更で14カ月決算となった子会社の影響もあり、増収増益を確保。インテリア事業は宿泊施設向けが好調だったものの、家具店の減少や物価高などが響き減収減益だった。
〈蔭山/小ロットから雑貨製品/色柄アレンジで独自企画可能〉
ふとん地製造卸の蔭山(大阪市中央区)は、国内で製織、プリント、縫製したインテリア、雑貨製品を小ロットから対応する。色柄もアレンジでき、オリジナル企画が可能。少量だが独自商品のニーズがある会員制のクローズドマーケットなどへの提案を強める。
製品に使う生地は、国内協力工場で製織、プリント、縫製。生地は10番手オックス、2重ガーゼ、60番手サテン、特許取得のマシュマロ触感で肌への刺激が少ない生地「ソブラーノ」などをそろえる。ハーブ・アロマテラピー関連商品製造販売の生活の木(東京都渋谷区)とコラボレーションして生地表面にエッセンシャルオイルを内包したカプセルを糊着(こちゃく)させた生地も用意し、顧客の要望やアイテムによって使い分ける。
デザインは、自社北欧デザインブランド「ガーブカーサ」シリーズを使用する。フィンランドやスウェーデンのデザイナーの北欧デザインを中心にそろえる。プリントはインクジェット機を使用。ガーブカーサの柄を拡大縮小したり、色を変更したりできる。
同生地をバッグやエプロン、ブックカバー、カーテンなどのインテリア、雑貨製品に仕立てる。最小ロットは生地で100メートルから。
〈東洋紡せんい/25春夏向け販売50%増/糸の海外販売も拡大〉
東洋紡せんいのマテリアル事業部ライフマテリアルグループ寝装チームは、25春夏向け素材・製品の販売数量が24春夏比で50%増加した。25春夏向けから始めた超高強力ポリエチレン繊維「ツヌーガ」使い糸の海外販売などが伸びた。
春夏向けは接触冷感系が柱で「ツヌーガの引き合いが強い」とする。ツヌーガ100%生地「アイコールド」やツヌーガとレーヨンの長短複合紡績糸「アイスデラックス」、ツヌーガ100%糸をそろえ、糸、生地、製品売りする。海外で製品を組み立てる顧客ニーズに対応するため、既に取り組む生地売りに加えて、25春夏向けから糸の海外販売も始めて販売増へつなげた。25春夏向けでは海外で組み立てた対日製品売りも増えたが、国内の生地販売は減少した。
ツヌーガは国内・東洋紡敦賀工場で製造。比熱や熱伝導性が高く、皮膚の熱を吸収・拡散させる特性を持っていることから接触冷感性のある生地が作れる。220デシテックス、440デシテックスの糸をそろえる。220デシテックスのタイプが増えており、ハイゲージの天竺編みにすることなどで冷感性を高める。製品は敷パッドや枕パッド、キルトケットに対応。高い冷感性が評価され、採用した取引先がリピートする割合が高いとしている。
〈ニトリHD/営業総利益拡大へ/中国で小型店の開発も〉
ニトリホールディングス(HD)は2026年3月期、ニトリや島忠など全事業で営業総利益拡大に取り組み、売上高9880億円(前期比6・4%増)、営業利益1292億円(7・3%増)、経常利益1330億円(5・4%増)、純利益900億円(17・0%増)を見込む。
25年3月期は売上高9289億円(前期比3・7%増)ながら、円安による商品の輸入コスト増、物流費や人件費の上昇などで利益を圧迫。営業利益1203億円(5・8%減)、経常利益1262億円(4・7%減)、純利益768億円(11・1%減)だった。
主力のニトリ事業も売上高8210億円(4・5%増)と好調だが、既存店売上高前期比は0・2%増にとどまった。最大2千品目を期間限定値下げした「新生活応援キャンペーン」では、大容量収納のチェストベッドや部屋の雰囲気を変えるジャカードカーテン、家電キャンペーンではドラム式洗濯乾燥機やコードレススティッククリーナーなどの販売が伸びたが、既存店売上高の大幅増とはならなかった。
今期は既存店売上高3・2%増を目指す。全事業での商品仕様、原材料、生産拠点、サプライチェーンの見直し、島忠事業でのPB拡充を加速させ、営業総利益を拡大。1ドル=147円65銭で為替予約するが、1ドル=160円でも利益が出る商品を今春夏から投入しており、利益率改善を進める。
ニトリ海外事業では、東南アジアを中心に出店を加速させるほか、中国大陸では収益性を重視した小型店モデルの開発にも取り組む。
〈ロマンス小杉/ムートンのスキルアップ/寝具専門店向けセミナー開く〉
寝具製造卸のロマンス小杉(京都市)はこのほど、協働プロジェクト「ねむりのアトリエ プロジェクト」に参加する寝具専門店を対象とした商談会、情報交換会を本社近くのショールームで開いた。54社が参加し、商談とともに、ムートンに関するスキルアップなどを図った。
情報交換会「ムートンコンシェルジュの集い」では、ムートン輸入製造のマスダ(奈良県宇陀市)の升田誠亮常務が、「ファインバブル」を使った水洗い洗浄を今年から始めたことなどを紹介。寝具専門店の販売状況についても意見交換した。
ムートンコンシェルジュは、羊の毛皮を使ったムートン製品を快適に使用してもらうために素材、製品、メンテナンスについて正しい知識を持つスペシャリストを認定する同社の資格。57社133人が同資格を取得している。
講師3人による販促セミナーも開かれた。
同プロジェクトは2020年に立ち上げ、「人材育成&スキルアップ」「店頭集客&販売促進」「未来創造プロジェクト」「コミュニケーションサークル」の4部門に分かれ、共通テーマの下に寝具専門店約100社が参加して活動している。
〈コアラスリープジャパン/返品マットでペットベッド〉
消費者に直販するDtoC寝具・家具ブランド「コアラ」を展開するコアラスリープジャパン(東京都渋谷区)は、返品マットレスを活用した「コアラペットベッドKUDDLE」を開発した。7日、公式サイトで300個限定発売した。
返品リネンをトートバッグにした企画に続くアップサイクル第2弾となる。「愛犬がマットレスから降りない」「猫がマットレスを占領」など、「コアラマットレス」愛用者の声に着想を得た。幅65㌢×奥行45㌢×高さ13㌢の1サイズで1万6千円。サーキュラーエコノミー実現に向け、一昨年春から業務提携するサイクラーズ(同大田区)が制作した。
座面の芯材には再生ウレタンを32%使用。座面をのせるベース面には滑り止めを付け、ズレにくい構造に。カバーには未使用の返品生地を用い、取り外して家庭洗濯できる。ペットにも快適な寝心地の良さはそのままに、環境に優しい仕様に仕上げている。