生地輸出連載 悲願達成に向けて⑦/八木通商 輸出繊維部執行役員 赤井可尚氏
2025年06月17日 (火曜日)
縫製品納入需要にも対応
――生地輸出事業の紹介を。
欧州、米国、アジア各国のファッションアパレルブランドに、日本やタイ、ベトナム製の生地を販売しています。織物をメインとしており、備蓄(ストック)ビジネスはまだ少ないですが、今後は構成比を増やしていく計画です。以前はイタリアの「ミラノ・ウニカ」(MU)に数回出展しましたが、今は休止して主要客先とダイレクトにコミュニケーションを取って販売しています。
――日本の仕入れ先の主力は。
短繊維ではデニム含めクラボウさんと、合繊は北陸の丸井織物(石川県中能登町)さんとパートナーシップを組んで、コア商材を仕入れています。他に、浜松や京都、福井、徳島、岡山などから多種多様な商材を仕入れてマーチャンダイジングを組み立てており、さらには、それらの産地間を結合させたモノ作りにも注力して競合他社との差別化を図っています。
日本には世界に誇れる素晴らしい繊維商材がまだまだたくさんあり、それらを世界の市場に広くPRして販売することで、日本の川中繊維産業に貢献することをミッションと考えています。
――目標は。
輸出売り上げを現状の2倍となる50億円に引き上げる目標を掲げています。さまざまな種をまいてきたことで2026年3月期での達成は見えていましたが、相互関税問題の勃発を憂慮しています。
ビジネス拡大に向け、日本だけでなく海外拠点でも輸出スタッフを増員しました。納期問題など多くの課題を抱えてはいますが、100億円の大台に乗せるという次の目標に向かって戦略を組んでいきます。
――生地以外も含めての100億円でしょうか。
縫製品供給も含みます。特に米国では自社の企画・開発部門を縮小し、時にはデザインまで外注で経費削減を図るブランドが多数あります。そこに商機を見いだします。「八木通商に任せれば素材提案から最終製品まで一貫で託せる」を目指します。
中国の自社縫製工場を最大限活用しつつ、さらに幅広いニーズに応えるためASEAN諸国の工場とも戦略的パートナーシップを結んで臨みます。
LVMH社が日本向け専門の投資チームを創設したように、日本にはまだまだ世界に誇れる商材や技術があります。あとは世界の市場でその潜在需要を掘り起こし、数字で結果を出すべくさらにまい進してまいります。
(毎週月、火曜日に掲載)