中国OEM/ODM企業が届ける魅力~「AFF・東京2025夏」レビュー②

2025年06月17日 (火曜日)

ニット企業は第三国で生産も

 中国国内での生産を堅持しつつ、ASEAN地域やバングラデシュでの生産に目を向けるニット関連企業は多かった。各社とも積極的な姿勢を見せ、「協力工場を増やす」と話す企業に加え、自家工場を新たに立ち上げる企業もあった。中国生産とは、アイテムやロット、納期などですみ分けを図る。

 杭州商大服飾は、婦人のニットアイテムを主力に、紳士服とキッズアイテムも展開する。浙江省の杭州、桐郷、湖州の3市に自家工場を持ち、合計でスタッフ2千人、年間900万枚生産している。14、16、18ゲージを中心とし、品質や納期で日本市場の要求に応える。

 カンボジアにも自社工場を保有し、編み立てから仕上げまで一貫で生産する。3~12ゲージに対応し、生産能力は年間350万枚。オーダーが拡大していることから新工場を立ち上げ、年内に稼働を開始する予定だ。生産能力は現工場の4倍近くになるとしている。

 欧米向けが全体の95%を占め、日本向けは少ないが、「日本の仕事をすることで品質をはじめ全体のレベルアップにもつながる。取り組みを拡大したい」と強調した。カンボジアの新工場は、9月開港予定の新空港から車で30分程度と近く「名刺代わりに日本企業へ紹介する」とした。

 南通倍順服飾は、横編み製品を主力としている。江蘇省南通市に編み機60台の工場、河南省に150台の編み機を設置する工場を持つ。全体の7割が日本市場向けとなっているが、「顧客からASEAN地域での生産の要望が増えてきた」とし、その声に積極的に応える。

 ASEAN地域では、ベトナム・ハノイ周辺に自家工場を建設する。今年10月に立ち上がる予定で、14~18ゲージのアイテムを中心に生産する。「ハイゲージになるため、カンボジアやミャンマーよりも効率が良い。日本への輸出も便利」と、ベトナムを選んだ理由を挙げた。

 大連宏大服装は、ニット製品製造をメインとし、現在は日本市場向けが100%と話す。遼寧省と河南省の自社工場にローゲージからハイゲージまで幅広い種類の編み機を設置し、婦人服を中心に紳士服と子供服を生産する。遼寧省に工場を新設する計画で、今年末から来年初めの稼働を目指す。

 バングラデシュでの生産も2024年から本格化している。顧客の要望に応える形で、十数件の工場と連携している。「当社のスタッフが現地に赴き、納期や品質を確認した上で工場を選定している。日本語が話せるスタッフも常駐している」とした。現在は横編みがメインだが、早い段階で丸編み製品と織物製品の生産も開始するとした。