未来を再構築する商社繊維事業/2024年度決算から(2)

2025年06月17日 (火曜日)

増収も営業利益は伸び悩む

純利益は過去最高の738億円/伊藤忠商事

 伊藤忠商事繊維カンパニーの2025年3月期連結決算は、収益が6313億円(前期比18・0%増)、売上総利益が1689億円(32・0%増)、営業利益が250億円(0・1%増)、純利益が738億円(2・7倍)の増収増益。純利益は過去最高を更新した。

 アパレル関連事業の業績は、海外のスポーツ分野を中心に堅調に推移した。デサントの連結子会社化に伴う再評価益により、純利益が大幅に増加した。

 主要関係会社の連結取り込みの純利益を見ると、第4四半期から取り込み比率が100%になったデサントが70億円。ジョイックスコーポレーションが4億円増の13億円、三景が4億円増の16億円と増益だった。一方、レリアンは6億円減の3億円、エドウインは2億円減の4億円と減益となった。ドームは34億円の損失を計上した。

 今期(26年3月決算)もスポーツ分野を中心に収益拡大を図るが、前期の一過性利益の反動を折り込み、純利益は380億円を計画する。

海外事業が大きく伸長/蝶理

 蝶理の25年3月期繊維事業の連結決算は、売上高が1527億円(前期比4・7%増)、売上総利益が232億円(8・9%増)と伸ばしたものの、物流経費や人件費の増加により営業利益は2・3%減の79億円、経常利益は0・2%減の78億円だった。

 仕入れ先が国内の国内売上高は3・4%増の414億円と堅調で、輸出・海外売上高は16・3%増の588億円と大きく伸ばした。仕入れ先が海外の輸入売上高は5・0%減の526億円だった。

 今期は海外拠点やグループ会社と連携して適地生産・適地販売体制の構築を進めるとともに、海外ブランドのマーケティングを強化しつつ海外展へ積極出展し販売を拡大させる方針。環境に配慮した商材の総称ブランド「ブルーチェーン」や各種差別化商材の認知度向上・販売拡大にも努める。

 今期の繊維事業は売上高1660億円(8・7%増)を見込む。

売上高、純利益で過去最高/GSIクレオス

 GSIクレオスの25年3月期連結決算は、売上高1655億円(前期比13・2%増)、営業利益29億5千万円(2・4%増)、経常利益25億4800万円(15・0%減)、純利益23億5800万円(16・8%増)で増収増益だった。売上高と純利益は過去最高を更新した。

 繊維関連セグメントは結果が分かれた。ファイバーは、主力のインナー用機能糸・生地が順調で増収増益。アウターは事業撤退を決めた子会社が低調で減収、トリアセテート繊維事業の取得関連費用計上などで減益。インナーは、増収ながらコストアップの影響で減益になった。

 今期(26年3月期)から新中期経営計画を始動する。資本コスト経営の実践やグループ基盤強化・協働推進などの重点施策を進め、最終27年度に連結で売上高1770億円、純利益30億円を計画する。