別冊ユニフォーム(3)/需要に応える商品開発
2025年06月17日 (火曜日)
〈ショップ向けに新潮流〉
新型コロナウイルス禍で一般市場も取り込みながら存在感を増したアウトドアテイストのワークウエアも、既に市場に浸透して目新しさを失いつつある。そこで新たな潮流となりつつあるのが、ビンテージな風合いのアメリカンカジュアル(アメカジ)調のワークウエアだ。団塊ジュニアを含む人口が多い40~50代のミドル世代に焦点を絞った企画で市場活性化の足掛かりを築く。
今回最も注目を集めたのは、クロダルマ(広島県府中市)が発表した「アヴィレックスワーク」だ。航空機操縦士が着用するウエアを起源に持つアヴィレックスの厳格な規格を受け継ぎ、ワークウエアに落とし込んだ。
サンエス(同福山市)は、「リアクター」をリブランディングして、ハードな現場でもしっかり働けて、オフシーンにもなじむ洗練されたデザインに仕上げた。RE22521シリーズには太番手の糸を使いバイオ加工で、ビンテージな風合いを演出する。
桑和(岡山県倉敷市)の「ダンディダッド」は、しゃれた大人のためのワークウエアブランド。綿高混率の素材を多用して渋いデザインに仕上げながら、伸縮性があり動きやすさも両立する。
コーコス信岡(福山市)は、米国ワークブランド「ディッキーズ」のラインアップを拡充。山田辰(大阪市城東区)も、国産ジーンズブランド「エドウイン」のツナギ服を訴求した。イーブンリバー(福山市)は、裏ボアのベストとフード付きジップパーカを発表した。
〈高度な技術で環境配慮〉
企業納入向けで必須となる環境配慮型ユニフォームは、より高度な技術を持って取り組む新商品が発表された。アイトス(大阪市中央区)は、「易リサイクル設計」のアイテムを発表。ファスナーなどの服飾資材を取り外さなくてもマテリアルリサイクルを可能にした。タカヤ商事(福山市)は、環境配慮型素材の「エコディア」と伸縮素材「ライトフィックス」を採用した新作を披露した。「軽い」「伸びる」「動きやすい」といった高機能と環境配慮を両立する。
ジーベック(同)は、二酸化炭素を原料とする繊維を開発。同一プラント内の排気ガスからポリエステルを精製する先進技術で、高い環境性能を示す。日の丸繊維(岐阜県大垣市)は、環境配慮型染色加工工場であるクラボウ徳島工場で作られた「ウルトラツイル」を採用したツナギ服をアピールした。
〈通年需要を捉える戦略〉
気候の変化が大きく、顧客ニーズも多様化している中で、独自性を高め、特化型商品を追求することで安定的な通年需要を狙うメーカーも少なくない。
難燃のワークウエアに注力するのは、村上被服(広島県府中市)。セットアップやインナー、帽子などフルアイテムを難燃でそろえられるほか、中わたやファスナーまで難燃素材を使った防寒も追加した。
Asahicho(同)は、カネカが開発したモダクリル繊維「カネカロン・プロテックス」を採用する難燃作業服を訴求。繊維自体が難燃性を持ち、洗濯などによって衰えることがない。火源から離れるとすぐに延焼が止まる自己消火性も備える。
高視認作業服は、路上で作業する職種を中心に通年需要がある。加えて、日中の暑さを避けるため夜間に作業する場合も増えており、今後は夏季の需要が増加すると見込まれる。
Asahichoは、日本のワークウエア業界にいち早く高視認作業服を導入した実績を持ち、JIS T8127に適合する高視認性安全服を幅広くラインアップする。
CUC(岡山県倉敷市)は、春夏と秋冬という商品区分から脱却して通年需要の高い商品開発を進める。商品を3段階の階層に分類する「レイヤーソリューション」によって、現場のニーズを分析し、それぞれの環境に最適な商品を提供する。分類の中の一つに「ハイビズワーク」という高視認安全服をカテゴライズする。ウエアのみならず安全靴なども高い視認性を付与している。
細やかな別注対応で独自性を追求する中塚被服(福山市)は、ストレッチ裏綿D533シリーズにカーゴパンツを追加。五つのデザイン×五つの素材から独自のワークウエアを選択することもできる。