STX 糸からモノ作りのヒントを
2025年06月18日 (水曜日)
STXの原材料部は今日18日まで、大阪支店で商社、紡績と連携し糸・素材展「ITO MARCHE」(イトマルシェ)を開いている。STXをはじめ、参加各社が原料からこだわった“個性派”の糸を発信し、来場者に対してモノ作りの新たなヒントを提供する。
同展は昨年に続く2回目の開催。参加企業はSTXのほか、シキボウ、クラボウ、近藤紡績所(名古屋市中区)、松村(京都市)、ニッケテキスタイル(愛知県一宮市)、蝶理の7社が参加。それぞれが独自性の高い素材や糸を紹介し、織布やニッター、タオル製造といった来場者に新たなモノ作りへの着想を促す。
STXは、龍田紡績(兵庫県姫路市)から商権を引き継いだ改質綿の機能糸「タツロンアルファ」をリブランディングし、消臭機能糸「デオシル」、吸湿発熱機能糸「ホッカオン」として展開。従来はタオルやインナー向けが中心だったが、カジュアルなど新たな用途を掘り起こす。
得意とする長繊維の「知見を生かして開発した」という機能性短繊維シリーズ「スパンラボ」を発信したのは蝶理。その中の「バルキー」は、特殊原料により通常のポリエステルより膨らみ感と綿タッチな表面感で、アウトドアやスポーツ用途での開拓が進む。
クラボウはインドネシア、タイの両拠点の紡績技術を紹介した。中でも注目されたのがウール70%・ナイロン30%混の糸。リング紡績でありながら、ウール高混率の紡績ができるという技術力の高さをアピールした。
シキボウは、滑らかで光沢感のある綿100%の精紡交撚糸「プレミアムデュアルアクション」が来場者から高評価。グループの新内外綿が手掛ける杢(もく)糸「モクティ」では、空気精紡糸タイプを新たに追加した。
ニッケテキスタイルは、17・5マイクロメートルのニュージーランド産メリノウールを使用した防縮加工糸「クローチェ」を紹介。光沢と白度に優れ、ぬめりのある上質な風合いに加えウールの持つ体温調整機能や消臭性から「春夏向け素材としても提案できる」。
シルク専門商社の松村は、日本独自の加工技術を生かした多彩なシルク素材を展開。肌に優しいセリシンをあえて残した糸はシャリ感があり、夏の清涼インナーに最適だ。
「良質な原料を使った商品開発を求める声が増えている」(ニッケテキスタイル)として、初日から多くの来場者でにぎわった。