中国OEM/ODM企業が届ける魅力~「AFF・東京2025夏」レビュー③
2025年06月18日 (水曜日)
コスト削減で東南アに対抗
今回展では、東南アジアに対抗して価格競争力をアピールする縫製企業も目立った。内陸部への工場移転などでコストを削減する。米中貿易摩擦の影響で米国との取引が減少したことから、日本市場の開拓に乗り出す企業も見られた。
張家港三悦服飾は、婦人向けのシャツやジャケットなど布帛製品を中心に生産する。江蘇省蘇州市に自社工場と、中国国内に複数の協力工場を持つ。日本との取引はゼロで、新規開拓を目指して出展した。
日本市場を開拓する背景には、トランプ米大統領の高関税政策がある。担当者は「これまで米国のアパレル企業をメインに取引をしてきたが、米中貿易摩擦の影響で受注が減った」と打ち明ける。両国間の貿易環境は不透明な状態が続いている。「これからどうなるか分からないことを考えると先の見通しを立てづらい」と指摘し、「新たに日本企業と安定的な取引ができれば」と期待をかける。
その上で、強みは「安価で高品質な製品を作れること」と強調。沿岸部より人件費の安い内陸部に多くの協力工場を持ち、コストの削減といった対応も進めている。
山東省威海市に本社を置く威海宝林進出口は大人用と子供用の浴衣のほか、紳士向けの中わた入りアウターを日本市場向けに生産する。浴衣の生産が全体の7割を占める。
同社は2007年の設立。中国国内に縫製工場と生地工場の両方を持つ。縫製工場の月生産能力は約10万枚。
最近の課題について、担当者は「日本企業が人件費の安い東南アジアに生産をシフトしていること」と指摘。中国は人件費が高騰しており、価格競争力で不利になる。それでも、「人件費が安い地域に工場を移すなどして価格競争力を高めている」と強調。コストを抑えて東南アジアに対抗する考えだ。
大連佳揚国際貿易は、遼寧省大連市内に自社工場を構えるほか、中国国内に四つの協力工場を持つ。ダウンや中わた入りアウター、コートの重衣料を扱い、全てが日本向けだ。大手カジュアルブランドやセレクトショップなどが主な顧客。40ブランド超と取引する。
生地や新製品の提案力がアピールポイントだ。自社工場にはサンプル室を備える。「顧客の要望に合わせて、サンプルを短納期で生産できるのも強み」(担当者)と自負する。
品質や数量、単価によって工場を振り分ける。自社工場では主に高単価品を生産。小ロット生産も可能で100枚から対応する。