未来を再構築する商社繊維事業/2024年度決算から(4)

2025年06月19日 (木曜日)

国内向け事業が健闘

営業増益を確保/東レインターナショナル

 東レインターナショナルの25年3月期決算(単体)は、売上高6261億円(前期比7・7%増)、営業利益130億円(5・8%増)、経常利益230億円(12・8%減)、純利益181億円(15・5%減)で営業増益を達成した。受取配当金が前期比36億円減少したことで経常利益以降は減益だった。

 繊維関連事業の売上高は、アパレルと繊維資材・物資が増収、衣料素材は減収だった。アパレルは、大手SPA向けなどが堅調に推移し、10・0%増の1677億円。繊維資材・物資は、自動車用途、衛材用途の販売が堅調で2・3%増の420億円。衣料素材は、米国、中国向けの車両用生地輸出を中心に苦戦し、1・6%減の741億円だった。

 今期の業績は、売上高6667億円、営業利益146億円、経常利益209億円、純利益163億円を予想している。

衣料、産資とも好調/帝人フロンティア

 帝人フロンティアの2025年3月期業績(帝人繊維・製品事業の連結業績)は、売上収益3519億円(前期比9・4%増)、事業利益178億円(37・5%増)となり、増収大幅増益だった。衣料繊維分野と産業資材分野ともに好調に推移した。

 衣料繊維分野は、北米や中国向けの生地・衣料品の販売が好調に推移し、国内向けの衣料品も良好な動きを継続した。すだれ構造を再現した「爽多」などの暑さ対策素材を開発した。産業資材は、水処理フィルター向けのポリエステル短繊維や人工皮革などが好調だった。

 今期(26年3月期)は、レジリエントな収益基盤の構築により、外部環境に左右されることなく安定かつ継続的に収益を上げる基礎収益力を一層強化する。リサイクル素材「エコペット」30周年を機に、環境配慮型機能素材の開発などを強化する。

繊維けん引し大幅増益/旭化成アドバンス

 旭化成アドバンスの25年3月期決算(単体)は、売上高698億円(前期比10・1%増)、営業利益21億7千万円(26・6%増)で、増収大幅増益を達成した。建材事業は微減益だったが、繊維と樹脂化学品事業は増収増益を確保した。

 繊維事業は、特に中国・上海と米国が好調に推移した。上海はキュプラ繊維「ベンベルグ」が裏地向けとファッション衣料向けで復活したことが大きく寄与した。日本国内ではファッション衣料分野が健闘を見せた。

 今期(26年3月期)は、中期3カ年計画の初年度となり、重点分野である環境、省人、健康、安全において独自ビジネスの深耕、旭化成との連携によるビジネスの推進に注力する。同時に厳しい市場環境の中で成長の兆しがないビジネスの見直しも実施する。