中国OEM/ODM企業が届ける魅力~「AFF・東京2025夏」レビュー④

2025年06月19日 (木曜日)

環境配慮や低コストなどPR

 出展企業各社が環境配慮や低コスト生産など、それぞれの強みを来場者に売り込んだ。東南アジアの縫製企業が勢いを増す中、中国企業は提案強化で劣勢挽回を狙う。

 福建甌南紡織は糸の製造から生地の生産、最終製品への縫製まで一貫した生産体制を構築する。福建省寧徳市に自社工場を持つ。低価格帯のTシャツやポロシャツ、スエットなどを手掛ける。20年以上にわたり、欧米諸国との取引を積み重ねてきた。年間売上高は4億円。

 日本企業との取引はゼロで、新規開拓が目的で今回展に出展した。強みのリサイクル素材を使ったTシャツなどを並べ、環境配慮をアピールした。Tシャツの日産量は約8万枚で、大量生産に対応できる供給体制を確立している。

 担当者は「日本では再生素材を使った製品が増えており、環境意識が高まっている。再生綿を使ったTシャツを来場者に提案すると、反応が良かった」と手応えを語る。

 江蘇省蘇州市に本社を構える蘇州柏舒国際服装は婦人向けのアウターやシャツ、セーターなど幅広い製品に対応する。中国国内の協力工場で生産する。日本向けが7割を占め、残りが欧米だ。GMS向けの製品が多いと言う。2024年の売上高は700万㌦超。

 日本企業とは21年から取引を始め、低コスト生産を強みに規模を拡大してきた。日本企業との取引について、担当者は「最初の注文を得るまでに時間がかかるが、その後は長く取引してくれる」と話す。

 その上で、「課題は人件費の高騰」と指摘。価格競争力の高い東南アジアの縫製工場に対抗するため、「中国国内で少しでもコストダウンできる協力工場を探し、低コストの生産体制の構築を進めている」と言う。ベトナムに協力工場を持つことも検討中だ。

 江蘇省南通市の南通富士泰国際貿易は、アウトドアブランド向けのアウターなどを手掛ける。日本向けが100%で、中高価格帯の商品が中心。中国国内の自社工場で生産する。日本企業との取引は約20年に及ぶ。

 新型コロナウイルス禍の時期はアウトドアブームの追い風もあり取引量は落ちなかったが、コロナ禍後は減少傾向と言う。今回展では取引量の回復を目指して、来場者に積極的に売り込みを掛けた。

 QINGDAO SEAKEYは、表面感のある生地や機能性素材を使った奇麗めなカットソー製品を生産する。全て日本向け。山東省内に四つの自社工場を構える。今後も日本企業との取引に注力すると言う。