アイトス 上半期カタログ定番8%増収
2025年06月20日 (金曜日)
ユニフォーム製造卸のアイトス(大阪市中央区)では、上半期(1~6月)のカタログ定番商品の販売が前年同期比8%の増収となりそうだ。
売れ筋商品の安定供給を徹底した「販売強化商品」の受注拡大がけん引している。
全体の売上高は、大口の別注案件が前期に比べて減少したことに加え、量販店・ホームセンター向けのカジュアルや紳士服など、リテール事業の苦戦も影響し、ほぼ横ばいにとどまる見通し。カタログ定番商品の伸長がこうした落ち込みを補った。
今期は本来受注が減少するはずの防寒商品が、2月以降も堅調に推移。また、セットアップ企画として展開しているストレッチ素材の「ライトフィックス」、立体裁断の「ニュームービンカット」、高密度かつ伸縮性に優れた編み地を用いた「スクラムテック」シリーズの販売が好調だった。
中でもニュームービンカットは、販売数量が前年比40%増と大きく伸長。スクラムテックは一時的に「生産が追い付かないほど」(伊藤崇行社長)の受注を集めた。また、25春夏から初めてカタログ定番商品に組み入れた「タルテックス」ブランドも一部カラーが完売するなど、予想を上回る反響があった。
今月から厚生労働省による「職場における熱中症対策の強化」が罰則付きで義務化されたことを受け、下半期には暑熱対策商品の販売拡大を見込む。中でもアイスベストは、「在庫を増やせば増やすほど出荷も伸びている」と好調だ。
人工知能(AI)を活用した採寸サービスや発注支援ツールなど、販売代理店向けのサポートも強化している。全体としても増収に転じながら、通期(2025年12月期)では過去最高となる売上高220億円(前期比1・9%増)を目指す。
「業界初」の易リサイクル対応
アイトスは、25秋冬向けに「易リサイクル設計」に対応した新商品「エコワーカーストレッチ」シリーズを打ち出す。ユニフォームでは「業界初」の取り組みとなる。
易リサイクル設計とは、経済産業省が定めた繊維製品の「環境配慮設計ガイドライン」の項目の一つ。製品廃棄時に、生地やボタンなどの各部材を手作業で分解・分類する手間を省き、再資源化しやすく設計されたものとなる。
このシリーズには、東レの植物由来ポリエステル繊維「エコディア」を使用。緯糸には高い伸縮性を持つ「ライトフィックス」を採用し、帯電防止性能(JIS T8118適合)も備える。これにより、静電気対策が求められる精密機器・半導体製造の現場や、ガス・燃料系の輸送・販売業などへの対応が可能だ。
着丈は長めで胸囲にもゆとりを持たせたシルエットとなっており、清掃業を中心としたビルメンテナンスや、工場内作業用途へ「新たなスモック」としても訴求する。
26春夏以降も、易リサイクル対応商品の投入を予定しており、伊藤社長は「単なる商品開発にとどまらず、回収も含めた循環型の仕組み作りを考える必要がある」と述べ、スキーム構築にも意欲を示す。