未来を再構築する商社繊維事業/2024年度決算から(5)

2025年06月20日 (金曜日)

スポーツ向け事業が堅調

改革成果で営業益倍増/東洋紡せんい

 東洋紡せんいの2025年3月期単体決算は売上高322億円(前期比14・9%増)、営業利益8億6800万円(108・2%増)、経常利益16億3900万円(169・1%増)だった。国内工場再編など構造改革の成果もあり、営業利益が倍増した。

 スポーツ事業は差別化生地販売が好調だったが、円安による海外調達コスト増加で増収増益ながら黒字化には至らなかった。

 マテリアル事業は糸売りを中心に堅調な販売となり、増収増益だった。

 ユニフォーム事業はワークウエア向け短繊維織物の販売が減少したが、サービスウエア向け合繊織物・ニットが堅調となる別注案件も増加したことで増益だった。

 スクール事業はシャツと学校体育服向けニット生地が堅調だったが、学生服地は流通在庫調整の影響を受け、全体として前期並みの業績だった。輸出織物事業は中東向けが強い需要を受けて販売数量を伸ばし、円安の追い風もあって大幅な増収増益だった。

 今期は売上高460億円、営業利益20億円、経常利益20億円を見込む。

繊維関連が大幅増益/クラレトレーディング

 クラレトレーディングの24年12月期連結決算は、取扱高1610億円(前期比6・9%増)、売上収益676億円(9・8%増)、営業利益59億1300万円(14・0%増)、経常利益60億2300万円(12・1%増)、純利益38億8200万円(3・8%増)だった。

 繊維関連は取扱高431億円(1・9%増)、売上収益322億円(1・2%増)、営業利益25億500万円(11・1%増)だった。衣料分野は縫製品販売がスポーツ衣料を中心に堅調に推移し、生地販売もスポーツ・アウトドア用途を中心に拡大したことで増収増益だった。学校体育服、ヘルスケア、フォーマル用途は受注減少とコストアップの影響で減収減益だった。資材分野はメディカル用途がコストアップのため減益となったが、人工皮革「クラリーノ」は自動車用途の拡大で増収増益だった。

 今期は取扱高1650億円、売上収益700億円、営業利益65億円、経常利益65億円、純利益44億円を見込む。

営業損失は減少/ユニチカトレーディング

 ユニチカトレーディング(UTC)の25年3月期単体決算は売上高260億円(前期比1・9%減)、営業損失4億円(前期は6億円の損失)、経常利益5億円(同5億円の損失)、純損失7億円(同5億円の損失)だった。価格改定などを進めたことで営業損失が減少した。

 衣料繊維事業は減収ながら増益だった。ユニフォーム分野が民需、官需ともに好調に推移したが、一般衣料分野は寝装やスポーツ衣料用途の需要低迷で苦戦した。デニム生地の輸出は回復した。産業資材事業は生活関連用品が堅調に推移した。

 ユニチカグループは現在、事業再生計画を実行しており、UTCの衣料繊維も事業譲渡を含む構造改革の対象となっている。このため今期の業績見通しは未定とした。

(おわり)