華南ブランド関係者に聞く①/「集言」鐘若昀デザイナー
2025年06月20日 (金曜日)
卸売市場のトップブランドへ
広東省深圳と広州を中心とした華南エリアは、日系生地商社にとって重要な市場だ。本連載では、同エリアのブランド関係者に市場動向や生地のニーズを聞く。第1回は、卸売市場のトップブランドを目指す高級レディース「集言」(ジーイエン)の鐘若昀デザイナー。(深圳=岩下祐一)
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――「集言」ブランドの概要を。
深圳市貝諾思服装が運営する高級レディースです。当社は元々、卸売市場で展開するOEM/ODM会社で、集言のほかに中式(中国伝統風)のレディース「繭絮」(ジャンシュー)と、カジュアルレディース「国卉」(グオホイ)を手掛けています。
集言は年初にスタートしたばかりで、卸売市場での展開を図ろうとしています。ミニマルデザインで、カシミア使いのコートは1万元を超える高級ゾーンのブランドです。今夏以降、深圳の南油市場と、浙江省杭州の四季青服装市場に出店するつもりです。
――同ブランドを始めた理由は。
中国の富裕層の若者の間では、ミニマルデザインが流行しています。欧米の「THE ROW」(ザ・ロウ)やLOEWE(ロエベ)、地場の「ICICLE」(アイシクル)などが人気です。
ミニマルデザインのブランドに可能性を感じています。先月に上海で開かれたアパレル展示会に集言のコレクションを出展し、手応えを感じました。上海のセレクトショップなどから高い評価を得ました。
――採用している生地は。
イタリアや日本の高級素材です。全体の50%が日本品、30%がイタリア品、20%が中国品です。いずれも欧州の高級ブランドが使う工場で生産された素材です。
日本品は、スタイレム瀧定大阪、双日ファッション、豊島、サンウェルなどの生地商社から仕入れています。イタリア品は、「ロロ・ピアーナ」などを取り扱う地元代理商や生地商社から買っています。
――卸売市場にこだわる訳は。
販売量が大きいのが魅力です。「フレームファン」など一部成功する高級ブランドは、卸売市場を通じ、大きな商売をしています。
――今後の計画は。
ミニマルデザインながら、刺しゅうなどのハンドメードの加工を強みとして打ち出していきます。卸売市場の高級レディースのトップブランドを目指します。イタリアや日本などの海外市場にも挑戦したいです。