中国OEM/ODM企業が届ける魅力~「AFF・東京2025夏」レビュー⑤
2025年06月23日 (月曜日)
日本市場開拓の契機に
今回展でも、日本向けのビジネスの経験が浅く、日本市場を開拓する契機として出展した企業が多く目に付いた。これらの企業は特徴が際立つような展示を行い、独自性のアピールで新規取引の獲得を図っていた。
仏山市智城匯紡織科技は、生地作りからニット製品を手掛ける。本社を置く広東省仏山市で、自社工場が一貫生産を担っている。
中国国内の繊維産業では、編み地の豊富な品ぞろえと高品質で知られたメーカーであり、ビジネスの90%を国内が占める。残り10%が欧米や台湾といった海外向けとなる。
日本の商社から生地の供給を求められ対応した実績はあるが、日本市場への本格的な展開には踏み出していなかった。中国からは近距離である日本市場に可能性を見いだし、AFFへの出展を決めた。
「東京会場を選んだのは、当社の生地のニーズが見込めるハイブランドとの出会いが期待できるため。来場者からは生地の色合いや手触りを評価された」と手応えを示した。
江蘇蘇美達軽紡国際貿易(SUMEC TEXTILE&LIGHT INDUSTRY)も初出展で、今回は得意の子供服・ベビー服を打ち出し、生産力をアピールした。
江蘇省南京市の同社は、中国国内とミャンマー、ベトナムで計11工場を自社で運営する。この生産体制を活用し、カジュアルやワーキングなど幅広い種類のアイテムを手掛ける。
日本企業と取引を開始してからの期間は短いが、既に大手から受注を獲得している。「信頼性が高い日本企業とのビジネスを広げたい」と意気込んでいた。
孚日集団はタオルメーカーで、バスローブなどタオル地で作った製品も紹介した。日本向けの取引は25%ほどだが、「日本はホテルをはじめとしたサービス業が発展しており、タオルの使用量が多いイメージがある」と、AFF出展の動機を話した。
溶解しやすい繊維を採用するなど、環境に配慮したモノ作りを実践している企業姿勢を発信した。
福建東龍針紡は大手のレース生地メーカーで、研究開発から製織、染色まで一貫して担う体制を強みとする。上海とフランスに「創意センター」を開設するなど、社内に国際的な研究開発の機能を擁している。
主要な取引先は欧米の企業で、日本向けは全体の20~30%ほどだが、近年は日本市場も重視し、AFFへの出展を続けている。
「丁寧なモノ作りから生まれる日本製品は繊細で美しいイメージが強く、実際にレースが多く使われている」と日本市場の魅力を語った。